1992 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子工学的手法を用いた齲蝕の免疫学的予防法の開発
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04557095
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Research Institution | 国立予防衛生研究所 |
Principal Investigator |
古賀 敏比古 国立予防衛生研究所, 口腔科学部, 部長 (10037541)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中井 素行 ライオン(株)オーラルケア研究所, 研究員
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Keywords | Streptococcus mutans / タンパク質抗原 / 齲蝕 / 遺伝子 |
Research Abstract |
Streptococcus mutansの表層タンパク質抗原(PAc)は、本菌が歯面上のペリクルに付着する際に重要な因子と考えられている。本年度は、Polymerase Chain Reaction(PCR)法を利用してPAcを遺伝子工学的に断片化し、その発現PAc断片と唾液との相互作用を調べた。 プライマーDNAとしては、5′末端側にKpnI切断部位、3′末端側にSalI切断部位を付加して25baseのDNAを合成した。ついで、PCR法で遺伝子断切を作製した後、KpnI/SalI消化し、発現ベクターPAX4a+に挿入した。作製したプラスミドをE.coli NM522に導入し、IPTGでβ-galactosidase融合タンパク質を誘導した。同融合タンパク質をアフィニティーカラムクロマトグラフィーで精製後、プロテアーゼFactor XaでPAc断片を切り出した。PAc断片をELISAプレートに被覆後、全唾液を反応させ、これにビオチン化したPAcを結合させるサンドイッチ法により唾液結合能を検討した。 S.mutans由来のPAcは、サンドイッチ法で唾液に対して結合能を示した。pac遺伝子を14個の断片に分け、PCR法で増幅し、各々をβ-galcto-sidase発現ベクターに連結してE.coli中で発現させ、14種類の組換えPAc断片を得た。これらの断片のなかで,PAc分子のアミノ酸残基番号39〜864と39〜1000に対応する断片に唾液成分との結合活性があることが明らかになった。さらに、PACの残基番号828〜1000に対応する断片はPAc分子と直接結合した。これらのPAc分子中の機能領域を含むPAc断片は、齲蝕の免疫学的予防法の開発にとって有用であろう。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Takahashi,I.他7名: "Genetic control of immune responses to synthetic peptides of a Streptococcus mutans surface protein antigen in mice" Infect.Immun.60. 623-629 (1992)
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[Publications] Ohahashi,N.他5名: "Identification of antigenic epitopes in an alanine-rich repeating region of a surface antigen of Streptococcus mutans" Infect.Immun.(1993)
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[Publications] 高橋 一郎、他1名: "Streptococcus mutansの菌体表層タンパク質抗原に由来する合成ペプチドはStreptococcus mutansの口腔への定着を抑制する" 臨床免疫. 24. 124-132 (1992)
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[Publications] 高橋 一郎、他1名: "Epitope scanningーマルチピンテクノジーを利用した抗原エピトープの解析" 生体防御. 9. 107-112 (1992)
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[Publications] 岡橋 暢夫、他1名: "合成ペプチドを用いたエピトープの同定法" 実験医学. 10. 85-89 (1992)
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[Publications] Okahashi,N.他1名: "Methods in Gene Technology,Vol.2" Dale,J.W.and Sanders,P.G.JAI Press, (1993)