1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04557097
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
富岡 清 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (50114575)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清都 太郎 富山化学工業, 総合研究所, 研究員
井上 勲 田辺製薬, 製薬技術センター, 研究員
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Keywords | キラル分子 / 不斉触媒 / 炭素一炭素結合 / 有機リチウム / 軸不斉 / C2対称 / 不斉合成 / 触媒反応 |
Research Abstract |
現在知られている不斉触媒反応のほとんどは、選択性は確かに高いものの、遷移金属を用いた特殊な反応に限られている。本研究では、通常の炭素一炭素結合生成反応に用いられている有機金属を反応剤とする不斉触媒反応を達成しようとするものである。 既に我々は、キラル配位子であるエーテルやアミンが立体化学制御機能を発揮し、また有機金属反応剤の活性化に十分機能することを量論量の不斉反応を行なう事で実証してきた。 特にイミン基質に対する有機リチウム反応剤の不斉1、2-付加反応が90%以上の不斉収率で進行することを見いだした。さらに、触媒量のキラル配位子存在下でも不斉反応が進行し、触媒回転が10回以上可能であることも発見した。 この知見を基に検討の結果、スチルベンジオールのジメチル体であるキラルジエーテルを不斉触媒とする画期的不斉反応の開発に成功した。即ち、ナフチルリチウムを1-フルオロナフチル-2-イミンとトルエン溶媒中ジエーテル2.5モル%存在下反応させると高収率かつ高不斉収率でビナフチル誘導体が得られた。また、この不斉触媒反応に影響を与える種々の因子に関してもかなり明らかにすることが出来た。 汎用される有機リチウムを炭素求核剤とする初めての不斉触媒反応の達成である。 この成果は、ジエーテルのように嘗ては触媒としても考えもしなかった通常化合物が反応の触媒として、さらには不斉触媒として機能することを発見したものであり今後の不斉触媒化学に大きな影響を与えるものと信じている。
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[Publications] Mituru Shindo: "A Catalytic Method for Asymmetric Nucleophilic Aromatic Substitution Giving Binaphthyls" Journal of American Chemical Society. 114. 8732-8733 (1992)
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[Publications] Kiyosi Tomioka: "Asymmetric Addition of Aryllithiums to Naphthalene BHA-Esters Catalyzed by a Chiral Ligand" Tetrahedron Letters. 34. 681-682 (1993)
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[Publications] Motomu Kanai: "Enantioselective Conjugate Addition of Organocuprate Using a Chiral Amidophpsphine Ligand" Tetrahedron Letters. 33. 7193-7196 (1992)
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[Publications] Kaori Ando: "Asymmetric Alkylation of α-alkyl β-Keto Esters to α,α-Alkyl β-Keto Esters Havin (R)-or(S)-Chiral Quatemary Center" Tetrahedron. 49. (1993)