1992 Fiscal Year Annual Research Report
高分子スズ錯体を用いる ^<99m>Tc標識放射性医薬品の製造
Project/Area Number |
04557104
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
中山 守雄 熊本大学, 薬学部, 助教授 (60164373)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
四方田 勇 第一ラジアイソトープ研究所, 研究開発部, 研究員
冨口 静二 熊本大学, 医学部附属病院, 助手 (20172182)
原田 久美子 熊本大学, 薬学部, 助手 (70150547)
杉井 篤 熊本大学, 薬学部, 教授 (40040323)
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Keywords | テクネチウム / 高分子スズ錯体 / アミノホスホン酸基 / キレート樹脂 |
Research Abstract |
1.高分子スズ錯体のための高分子素材の検索 種々のキレート樹脂を用いてスズ(II)の吸着性を検討した結果、窒素及び酸素を配位原子として有するキレート樹脂がスズ(II)を安定に結合できることを明らかにした。なかでも、スチレン・ジビニルベンゼンを高分子基体とする市販のアミノホスホン酸型樹脂がスズ(II)に対して最も高い吸着容量を示した。 2.高分子スズ錯体の製造法の確立 スズの加水分解を防ぐため塩化第一スズ溶液の調製には細心の注意を払う必要があった。しかし、塩酸酸性下、1時間の吸着操作で、 ^<99m>Tcの還元に充分なスズ(II)をアミノホスホン酸型樹脂上に吸着でき、いったん吸着されたスズ(II)については、特別の注意を払う必要はなかった。 3.高分子へのスズの結合安定性及び結合状態の検討 上記の方法によって製造した高分子スズ錯体上のスズは、アミノホスホン酸基とのキレート生成によって極めて安定に保持されていると考えられ、1.0Mの塩化カリウム溶液中でも全くスズの脱離は認められなかった。また、高分子スズ錯体の切断面をX線マイクロアナライザーを用いて分析した結果、スズは高分子の比較的表面部分に分布しており、 ^<99m>Tcの還元には有効であると考えられた。 4.高分子スズ錯体の ^<99m>Tcに対する還元能と耐久性の検討 ^<99m>Tc標識錯体の生成反応にこの高分子錯体を還元剤として応用した結果、従来使用されている塩化第一スズとほぼ同等の還元力を有することが明らかになった。加えて、空気中、水中でも比較的空気酸化、加水分解に対する耐久性が大きいため、 ^<99m>Tc標識操作に簡便に利用でき、標識反応液中のスズの妨害を除去できる利点を有することも示唆された。
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