1992 Fiscal Year Annual Research Report
中膜平滑筋細胞を構築した試験管内動脈壁作製への試みー血管発生生物学からの応用ー
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04557111
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
高野 達哉 帝京大学, 薬学部, 教授 (40124995)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
恵谷 誠司 帝京大学, 薬学部, 助手 (20221814)
森 雅博 帝京大学, 薬学部, 助手 (00230079)
板部 洋之 帝京大学, 薬学部, 助手 (30203079)
峰尾 千恵子 帝京大学, 薬学部, 助手 (00190710)
今中 常雄 帝京大学, 薬学部, 講師 (50119559)
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Keywords | 大動脈 / 血管壁 / 発生学 / 血管新生 / 平滑筋細胞 / 内皮細胞 / エラスチン / 器官培養 |
Research Abstract |
我々は、大動脈壁を試験管内で構築することを目的として、発生学の立場から胎児生体内で観察されるような血管壁の構築を観察した。大動脈の血管形成には、細胞接着因子、細胞増殖因子、平滑筋分化亢進因子等々、各種因子が作用しているに違いない。そこで、生体内で関与しているこのような因子を解析するために、胎児発生期における大動脈形成を観察した。 本研究を発生生物学的な立場から観察するために、中膜平滑筋を構築した血管新生機構を以下の手順で解析した。その結果、胎齢10日までは、大動脈は一層の内皮のみからなり、その周囲には比較的細胞密度の小さい間充織(胎児の未分化な結合組織)が存在するのみであった。胎齢11日になると、内皮の周囲に細胞が集まり、2〜3層の細胞をなしているように見えるが、まだ周囲の間充織との境界は明確でない。胎齢13日では、内皮の周囲に明確な4〜5層の細胞層が形成されているが、まだ平滑筋の形態は示していない。胎齢15日で、5〜6層の細胞層は次第に中膜平滑筋らしい配列をとり始めており、胎齢17日になると明らかに平滑筋の組織像を示す。ただし、この時点では外膜に当たる層は見当たらない。抗α-エラスチン抗体による免疫組織染色法により検討してみると、胎齢11、13、15日ともに、間充織全体にエラスチンの染色が見られた。ただし、11日では全体にやや染色が薄く、13、15日の発生が進むにつれて大動脈壁の中膜部分では発現が強まっていた。これらの知見をふまえて、胎齢11、13、15日目の血管を分離し、コラーゲンゲル上で器官培養を試みている。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] K.Magari,H.Fukushima,S.Ishimaru,et al.: "Platelet adhesion to a biomimetic prosthesis prepared from canine arterial wall." Artif.Organs. 15(6). 492-497 (1991)
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[Publications] Y.Yagyu,R.Hashida,K.Iwasaki,et al.: "Effect of PGI_2 on platelet binding to partially denuded endothelial monolayer in vitro." Thromb.Res.64. 733-744 (1991)
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[Publications] T.Imanaka,P.B.Lazarow,& T.Takano: "Suramin prevents import of acyl-CoA oxidase into rat liver peroxisomes." Biochim.Biophys.Acta. 1134. 197-202 (1992)
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[Publications] Y.Yagyu,C.Mineo,T.Imanaka,et al.: "Intercellular transport through a partially denuded arterial endothelial monolayer.Effect of platelets and PGI_2." Thromb.Res.66. 215-222 (1992)
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[Publications] C.Mineo,T.Kanaseki,T.Imanaka,et al.: "Hydrolysis of lipid droplets in acid cholesteryl-esterase-deficient fibroblasts." Cell Struct.Funct.17. 191-196 (1992)
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[Publications] T.Takano: "Accumulation of cholesteryl ester in atherosclerotic lesions." Acta Pathol.Jpn.42(9). 625-631 (1992)
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[Publications] 高野 達哉: "心臓(動脈硬化壁へのコレステロール蓄積機構)" 丸善株式会社, 8 (1991)
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[Publications] 峰尾 千恵子,高野 達哉: "新生化学実験講座6(トランスサイトーシス)" 東京化学同人, 10 (1992)