1992 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子導入法を用いたネフロン構成細胞の不死化培養株の開発
Project/Area Number |
04557122
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
遠藤 仁 東京大学, 医学部(医), 助教授 (20101115)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
帯刀 益夫 東北大学, 抗酸菌病研究所, 教授 (10099971)
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Keywords | トランスジェニックマウス / SV40-T抗原 / 温度感受性因子 / 単一ネフロン / 近位尿細管 / 集合尿細管 / サイクリックAMP / アンモニア産生 |
Research Abstract |
当初に計画した研究をほぼ順調に進行させることができた。以下箇条書きに記す。1)トランスジェニックマウスの作出:SV40-T抗原をコードする遺伝子をマウス胚に注入し、子宮に戻して第一世代の遺伝子導入マウスを作出した。2)単離ネフロンの採取:このマウスが成熟し、器官分化が完了した時点で、大動脈よりcollagenaseを注入して腎を剔出し、実体顕微鏡下で単一ネフロンを構成する各分節を無菌的に採取し、培養を行った。3)培養条件の検討:RITC80-7培地に5%の牛胎児血清を加えた培地が最適であった。単一ネフロン分節の細胞はその由来部位により増殖のスピードに著しい差異が認められた。即ち、糸球体や遠位側尿細管は3週間〜1ヶ月で対数増殖期に入ったが、近位尿細管細胞は1〜2ヶ月を要した。何れの細胞も温度感受性因子(ts)の発現を認め、33℃で増殖の促進を、37℃で増殖の抑制を示した。何れの細胞もグルタミンの存在が必須であった。4)新鮮組織と培養細胞との比較:継代を繰り返して20代以上に達しても形態の変化は認められず、初代とほぼ同様の所見が維持されていた。アンモニア産生能は新鮮ネフロンで近位尿細管に高く、継代細胞でも近位尿細管由来細胞は集合尿細管由来細胞の3倍高く、新鮮ネフロン分節の結果と同様であった。アルギニンバゾプレシン(AVP)による細胞内cAMP産生の増強効果も新鮮ネフロンの集合尿細管に認められたと同様、同部位由来培養細胞での反応が認められた。5)細胞のクローン化:従来の形態学的検索で明らかに複数種類の細胞から構成されている集合尿細管由来培養細胞を希釈法でクローン化した結果、AVPやisoproterenolに対するcAMPの産生量が異なるいくつかのクローン化細胞の樹立に成功した。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Nosaka,K.: "Cisplatin-induced alterations in renal structure,ammoniagenesis and gluconeogenesis of rats." Kidney Int.41. 73-79 (1992)
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[Publications] Takeda,M.: "Intranephron distribution of glycin-amidino-transferase activity in rats." Renal Physiol.Biochem.15. 113-118 (1992)
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[Publications] Takeda,M.: "Biosynthesis of guanidinoacetic acid in isolated renal tubules." Eur.J.Clin.Chem.Clin.Biochem.30. 325-331 (1992)
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[Publications] Ha,H.: "Lipid peroxidation in isolated rat nephron segments." Am.J.Physiol.263. F201-F207 (1992)
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[Publications] Tojo,A.: "Intrarenal handling of proteins in rats using fractional micropuncture technique." Am.J.Physiol.263. F601-F606 (1992)
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[Publications] Kondou,I.: "Alterations of gluconeogenesis by ischemic renal injury in rats." Renal Failure. 14. 479-483 (1992)
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[Publications] 遠藤 仁: "活性酸素と病態" 学会出版センター, 776 (1992)