1992 Fiscal Year Annual Research Report
新しい逸脱マーカーによる初期病変の早期検出と障害度測定法の開発(組織特異的FABPファミリー蛋白の利用)
Project/Area Number |
04557126
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
小野 輝夫 新潟大学, 医学部, 教授 (00000927)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榊原 順 新潟大学, 医学部, 助手 (90242403)
人見 雅浩 新潟大学, 医学部, 助手 (40218730)
藤井 博 新潟大学, 医学部, 講師 (90165340)
岡田 正彦 新潟大学, 医学部, 教授 (30018915)
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Keywords | 脂肪酸結合蛋白(FABP) / L-FABP / H-FABP / I-FABP / I-15P |
Research Abstract |
1.FABPファミリー蛋白の特性:FABPファミリー蛋白を逸脱マーカーに用いる基礎的研究として腸疾患への応用が期待されるI-15Pについて、その組織局在性、cDNAクローニングと発現の動向をネズミで検討した。その結果I-15Pはウエスターンブロット検索で回腸のみならず卵巣及び副腎でも検出された。特に腸では吸収上皮の他一部腸クロマフィン細胞に局在し、卵巣では黄体細胞、副腎では一部皮質細胞に検出された。この他I-15P類似の免疫交叉性が胃の粘膜上皮細胞、顎下腺の顆粒回旋性細管細胞にも認められた。細胞内局在はサイトゾルに限局したが、腸クロマフィン細胞、顆粒回旋性細管細胞では分泌顆粒に認められた。クローニングされたI-15P(ネズミ)のcDNAは457個のヌクレオチドより成り、蛋白をコードする127個の推定アミノ酸配列はネズミ腸より精製した蛋白の配列と完全に一致した。このcDNAをプローブにノーザンブロットを行った結果、回腸と同じサイズの転写産物が卵巣で検出された。一方肝型-FABPは、確立されたヒトhepatoblastomaのathymic nude mouseモデルで腫瘍細胞及び腫瘍細胞抽出液でほぼ40%の割合でポリクロナル抗体により検出された。 2.逸脱マーカーとしての応用:ネズミ腸より精製した腸型-FABPに対するポリクロナール抗体を調製しヒト腸型FABPとの免疫交叉性を検討したが陰性であった。この抗体を利用しネズミの腸上間膜動脈を切断、或は一過性に血行を閉塞させた腸組織の虚血状態での腸型-FABPの血清値動態を検討した。その結果、腸の虚血状態での早期鋭敏な検出法であることを確認した。現在ヒト心筋型-FABP、肝型-FABPに対する抗体の調製を終え、血清の測定キットを確立し心筋梗塞及び腎疾患、肝疾患に対する症例を検討中である。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Tatsuo Kanda: "Intestinal fatty acid binding protein as as sensitive marker of intestinal ischemia" Digestive Disease and Sciences. 37. 1362-1367 (1992)
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[Publications] Hiroshi Fujii: "Cloning of a cDNA encoding rat intestinal 15 kDa protein and its tissue distribution" Biochem.Biophys.Res.Commun.190. 175-180 (1993)
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[Publications] Sachiko Aono: "Detection of bilirubin-binding proteins in the liver on a nitrocellulose membrane" Biomedical Research. 13. 69-74 (1992)
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[Publications] Toshimitsu Suzuki: "Establishment of a human hepatoblastoma model in athymic nude mice:Producibility of fatty acid binding protein, α -fetoprotein,and α_1 -acid glycoprotein" Acta Pathologica Japonica. 42. 255-261 (1992)
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[Publications] Osamu Amano: "Immunocytochemical localization of rat intestinal 15 kDa protein,a member of cytoplasmic fatty acid binding proteins" Anatomical Record. 234. 215-222 (1992)
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[Publications] 小野 輝夫: "トピックスFABP" 検査と技術. 20. 1118-1119 (1992)
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[Publications] 小野 輝夫: "実験生化学講座第4巻脂肪酸結合タンパク質" 東京化学同人, 5 (1993)
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[Publications] 小野 輝夫: "基礎科学講座脂肪酸結合蛋白" 広川書店, 3 (1993)