1993 Fiscal Year Annual Research Report
通常赤外分光法を用いた人体中脂質変動の非侵襲的測定法の臨床応用
Project/Area Number |
04557128
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Research Institution | 大分医科大学 |
Principal Investigator |
吉田 敏 大分医科大学, 医学部, 助教授 (50158440)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹下 正純 大分医科大学, 医学部, 教授 (50019551)
酒井 久美子 大分医科大学, 医学部, 教務員 (60225753)
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Keywords | 非侵襲的 / フーリエ変換赤外分析 / 口腔粘膜 / 歯科口腔外科 / 内科 / スペクトル解析 / ATR測定法 / ZnSe結晶 |
Research Abstract |
これまでの研究で、通常赤外分光法による口腔粘膜の測定が可能になり、測定感度や安全性についても問題無く出来ること、そして血液中のトリグリセリドなどの脂質の変動を予想することが出来るだけでなく、口腔粘膜系の疾患の解析にも今回のシステムが非侵襲的に利用できる可能性を示した。 昨年度(初年度)において、口腔粘膜の赤外スペクトルの解析の半自動的におこなうプログラムを開発して、今後の臨床応用への可能性を強固なものにした。これは昨年度の日本生化学会において、発表した。 今年度は、口腔粘膜の中の測定する場所を容易に変えられるように、これまでの横に渡した丸型ZnSeの結晶の棒ではなく、縦に渡してスポツト上に粘膜に当てて位置を変えられるようにしたプローブ(角形ZeSe結晶)とそれを支える付属装置(ATR測定)を試作した。ここでは、このプローブは当初長さが6cm以上あるものにしたが、これは、口腔内の舌下や、奥の方の粘膜組織の測定をしたいという歯科口腔外科の医師からの要望に応じるために作ったものである。この新しいプローブは上下左右に自由に動かす事が出来て、患者の頭を固定した上で、測定位置を医師自ら変えることの出来るシステムとなった。このプローブを使って実際に口腔粘膜を測定したところ、プローブの先端の1cm四方の面積の接触部位での測定でもスペクトルが採れることが解ったが、以前使っていたものよりかなり光の量が少ないことが判明した。従って、スペクトルの微細な変化を判読するにはもっと感度を上げるように工夫しなければならなかった。また他の問題としては、プローブが長いために先端を口腔粘膜におしつけて測定している間に、鼻から出る呼気に含まれる水蒸気が、プローブの表面にかかって大きさが変動するノイズとなって、スペクトル解析を妨害することになることに気がついた。これらのことも含め、プローブの長さを3cmぐらいにして光の量を増やして感度を高め、かつ鼻からの呼気が当たらないように工夫することにした。このことによって、微細なスペクトルの構造変化も捉えることが出来るようになる。臨床への応用としては、歯科口腔外科の医師と共同して、口腔に出来る病変組織(舌癌など)の赤外分析データーを蓄積しており、内科的な診断だけでなく外科的な診断にも利用できる可能性が出てきている。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Yoshida,S., Miyata,M. Yoshida,H. & Takeshita,M.: "Change of conformational disorder in membrane lipids in the pulmonary artery of monocrotaline-injected rats detected in situ by Fourier transform infrared・・" Vibrational Spectroscopy. 3. 271-276 (1992)
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[Publications] Takeshita,M., Yoshida,S., Miyata,M. & Yoshida,H.: "Analysis of factors in hypertension:Change of membrane fluidity in the arteries of spontaneously hypertensive and monocrotaline-injected rats." Clin.Exp.Pharmacol.Physiol.19. 33-35 (1992)
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[Publications] 吉田 敏,酒井久美子,岡田恵子,竹下正純: "口腔粘膜の赤外スペクトルのin vivo測定と血中トリグリセリド値との関係" 医学のあゆみ. 164. 147-148 (1993)
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[Publications] Sakai,K. & Yoshida,S.: "Quantitative and non-destructive analysis of fatty acid esters and cholesterol in brain tissues by Fourier transform infrared spectroscopy." Vibrational Spectroscopy. (in press). (1994)
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[Publications] Yoshida,s., Yasuda,A. Kawasato,H., Sakai,K., Shimada,T., Takeshita,M. Yuasa,S., Fukamizu,Y. & Okuyama,H.: "in:Advances in Polyunsaturated Fatty acid Research (eds:T.Yasugi,H.Nakamura,and M.Soma)" Excerpta Medica(Amsterdam-London-New York-Tokyo), 294 (1993)
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[Publications] 吉田 敏: "膜学実験シリーズ 第1巻「生体膜編」4.1.5 赤外スペクトル" 共立出版, 424 (1994)