1993 Fiscal Year Annual Research Report
新しく発見した遺伝性ニューロフィラメント欠損ウズラの神経疾患モデル動物化
Project/Area Number |
04558011
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
板倉 智敏 北海道大学, 獣医学部, 教授 (30021695)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小原 收 塩野義製薬(株), 研究所, 研究員
北村 忠久 塩野義製薬(株), 研究所, 部長
水谷 誠 日本生物科学研究所, 実験動物研究所, 主任研究員 (40072467)
落合 謙爾 北海道大学, 獣医学部, 講師 (80214162)
林 正信 北海道大学, 獣医学部, 助教授 (10130337)
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Keywords | ニューロフィラメント / ウズラ / 神経線維 / 軸索 / 細胞骨格 |
Research Abstract |
遺伝性ニューロフィラメント(NF)欠損ウズラ(Quv)の,形態学的特徴をさらに明らかにした。その一つとして、腓骨神経と脛骨神経のときほぐし標本を作製し、これを形態計測学的に検索した。その結果、Quvは、対照例に比較して、大型の有髓神経が少ないのに対し小型の有髓神経が多く、かつ局所性に髓鞘が肥厚していた。一方、脊髓背根の神経細胞体の大きさは、対照例と同一であった。以上から、Quvには、有髓神経線維の径の発育阻止あるいは軸索の成熟阻害があると推定された。 Quvのノイロンの分子生物学的解析で、NF-L遺伝子をクローンし、アミノサン配列を調べた。その結果、アミノサン残余タンパク質114にナンセンス変異を含むことが明らかにされ、これがNF-Lを産生し得ない要因と解された。 Quvの坐骨神経についての電気生理学的解析では、有髓神経線維の太さと知覚伝達速度との関係を調べた。その結果、細い有髓神経線維ほど知覚伝達速度が遅かった。我々は、従来より、Quvの特徴の一つとしてNF欠損に基づく細い神経線維の存在を指摘してきたが、このことは知覚伝達という電気生理学的な面からも裏づけされた。 哺乳動物の脊髓運動神経の軸索近位部にNFを蓄積し、軸索腫大を引き起こす薬物IDPNをQuvに投与した実験研究を行った。IDPNを投与した対照ウズラでは、脊髓の運動神経軸索、腹根、脊髓神経筋内、灰白交連に、軸索腫大が観察され、これらは電顕的にNFの蓄積を示した。しかしQuvでは、そのような変化は全く認められなかった。これはQuvが元来NFを有しないからであり、QuvがNFを有しないことはこの実験からも裏づけされた。なお、Quvは神経毒がNFを攻撃するか否かの判定にも用いられることが示された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Sakaguchi,T.et al.: "Reduced diametr and conduction velocity of myelinated fibers in the sciatic fibers in the sciatic nerve of a neurofilament-deficient mutant quail" Neuroscience Letters. 153. 65-68 (1993)
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[Publications] Ohara,O.et al.: "Neurofilament deficiency in quail caused by nonsense mutation in neurofilament-L gene" Journal of Cell Biology. 121. 387-395 (1993)
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[Publications] Zhao,J.X.et al.: "Smaller number of large myelinated fibers and focal myelin thickening in mutant quails deficient in neurofilaments" Acta Neuropathologica. 86. 242-248 (1993)
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[Publications] Mitsuishi,K.et al.: "B,B'-iminodipropionitrile toxicity in normal and congenitally neurofilament-deficient Japanese quails" Acta Neuropathologica. 86. 578-581 (1993)