1993 Fiscal Year Annual Research Report
極低温領域におけるタンパク質の立体構造解析システムの開発
Project/Area Number |
04558015
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
三木 邦夫 東京工業大学, 資源化学研究所, 助教授 (10116105)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊中 浩治 東京工業大学, 資源化学研究所, 助手 (30240758)
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Keywords | X線構造解析 / 極低温領域 / タンパク質の動的構造 / 二次元X線回折計 / ワークステーション / イメージングプレート / 低温維持装置 |
Research Abstract |
タンパク質のX線結晶解析において,低温領域での構造解析を行うことは重要である.本研究の目的は,液体窒素温度から室温までの間の任意の温度において,タンパク質のX線構造解析を高分解能,かつ高速に行うことのできるシステムを開発することであり,1)高速度かつ高精度でX線回折データの収集が可能,2)低温領域での回折強度収集が可能,3)ワークステーションによりシステム全体を統合的にコントロールし,リアルタイムでの構造解析計算が可能,という特徴を装置にもたせている.昨年度までに,この装置の基盤となる1)と3)の開発をほぼ完了したので,今年度は主に2)について次の2つの点に分けてその開発を行った. (1)結晶を低温状態へ移行する方法:タンパク質結晶を破壊することなく低温にする方法として,当初,低温電子顕微鏡の試料作製の際に用いられている方法を応用することを検討したが,これには高価な装置が必要であることから,液体窒素を結晶に直接作用させて凍結させる方法を検討した.試料にリゾチームを用いた場合,やや結晶のモザイク性は増すものの,回折データ測定が可能である状態を保ったまま液体窒素によって直接的に凍結する方法の開発に成功した. (2)結晶を低温に維持しながらX線回折データの収集を可能にする装置の開発:低温状態のタンパク質結晶の低温状態を維持するために,最近市販された窒素ガス吹き付け式低温維持装置を導入し,幅広い検討を行ったところ,先の凍結結晶について十分にその効果があることがわかった.この結晶についての試験的な回折強度測定にも成功し,常温での場合と同様な良質のデータが測定できること,低温の効果による各原子の温度因子の減少が認められることをすでに確認している.
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