1994 Fiscal Year Annual Research Report
高品質超伝導体を用いた極低温トンネル接合放射線検出器
Project/Area Number |
04558030
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
石橋 健二 九州大学, 工学部, 助教授 (00159766)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 進 電子技術総合研究所, 研究調査官室, 統括研究調査官
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Keywords | 超伝導トンネル接合 / ニオブ / アルミニウム / 放射線 / X線 / 検出器 |
Research Abstract |
当該年度は、トンネル製作の原点にもどり、薄いアルミニウムの高品質ニオブ系トンネル接合の製作プロセスの見直しを行った。製作プロセスを簡単化することを指標にしたが、その結果、漏れ電流100nA、動作抵抗2.5kΩのトンネル接合が製作できるようになった。この製作方法は、厚いアルミニウムのトンネル接合にも有効であろうと思われる。 一方、超伝導トンネル接合の応用のひとつとして、シンクロトロン放射光を利用したX線実験がある。超伝導トンネル接合は、清浄なエレクトロニクス雑音が必要とされるので、世界的にも放射光実験施設での放射光X線の測定には使用されたことがない。本研究で製作したトンネルで放射光X線の測定を試みた。その結果、雑音遮蔽を行った結果、放射光施設でも超伝導トンネル接合によってX線信号ピークが得られることが確認できた。この実験でのエネルギー分解能は、6keVのX線に対し520eVであるが、今後の雑音遮蔽の工夫によって分解能の向上が期待される。 超伝導トンネル接合の動作を定量的に把握するためには、種々の超伝導体による実験結果を総合的に説明するアプローチが有用である。本研究では、ニオブ、タンタル、スズ、アルミニウム超伝導体での実験結果を用い、トンネル接合動作の総合的把握を試みた。その結果、準粒子挙動の物質依存性がわかり、信号の大きさ、エネルギー分解能に関する傾向をつかむことができるようになった。
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[Publications] 古賀慎也、永江利充、石橋健二.他: "陽極酸化法によるアルミニウムトンネル接合の製作" 九州大学工学集報. 67. 257-264 (1994)
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[Publications] 野田孝浩、古賀慎也、石橋健二.他: "Nb/AlOx/Nb超伝導トンネル接合を用いたX線検出器の製作に関する研究" 第5回放射線計測研究会論文集. 26-34 (1994)
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[Publications] K.Ishibashi,T.Noda et al.: "Response of Nb-Based Tunnel Junctions to Synchrotron Radiation" IEEE Transactions on Applied Superconductivity. (予定). (1995)