1992 Fiscal Year Annual Research Report
Caged化合物を用いた時分割電子顕微鏡法のための急速凍結装置の開発
Project/Area Number |
04558034
|
Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
月田 承一郎 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 教授 (50155347)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
月田 早智子 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助手 (00188517)
米村 重信 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助手 (60192811)
|
Keywords | ケージドATP / 急速凍結法 / 液体ヘリウム / アクチン / ミオシン / 紫外線 / 電子顕微鏡 / ミリ秒 |
Research Abstract |
初年度の目的であるケージド化合物を用いた凍結システムが完成したので、さらに、このシステムの評価も兼ねて、2種類の実験を行った。第一の実験は、ATP非存在下でアクチンフィラメントにフルデコレーションしたミオシンサブフラグメント1(Sl)が、ATP濃度の急激な上昇に伴い、どのようにしてアクチンフィラメントから離れていくかを追跡しようというものである。ケージドATP存在下でSlのアクチンフィラメントへの結合様式があまり変わらないのを確認したのち、このようなサンプルに光を照射し、その後の変化をディープエッチングレプリカ像のコマ取り写真として解析した。その結果、Slが光照射後15ミリ秒あたりからアクチンフィラメントから離脱しはじめ、その結合様式を大きく変えていく様子を初めて捉えることに成功した。得られた像が持つ意味を正確に理解するためには、まだ、多くの実験を進めなくてはならないと思われるが、少なくともこの実験によって、我々の開発したシステムにより、滑り運動系における蛋白質相互作用をきわめて高時間分解能の電子顕微鏡像として追跡できるという確信が得られた。第二の実験は、無負荷の状態で最高速度で収縮している瞬間の単離筋原線維を急速凍結し、そのクロスブリッジの様子を観察しようとするものである。この収縮は極めて短時間で終わってしまうため、ケージド化合物のシステムを用いる必要がある。現在、光照射後最大収縮速度で短縮中の筋原線維の急速凍結に成功し、そのディープエッチングレプリカ像を得つつある。このような方法により得られる像が筋収縮の分子機構を考えるうえで重要な情報を与えてくれるものと期待出来る。以上、我々が開発したケージド化合物を利用した急速凍結システムは、ほぼ完成しており、このシステムがきわめて強力な研究手段となりうることが証明された。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Sato,N.: "A gene family consisting of ezrin,radixin,and moesin.Its specific localization at actin/plasma membrane association sites." Journal of Cell Science. 103. 131-143 (1992)
-
[Publications] Matsuyoshi,N.: "Cadherin-medicated cell-cell adhesion is perturbed by v-src tyrosine phosphorylation in metastatic fibroblasts." Journal of Cell Biology. 118. 703-714 (1992)
-
[Publications] Shimoyama,Y.: "Cadherin dysfunction in a human cancer cell line:Possible involvement of loss of alphacatenin expression in reduced cell-cell adhesiveness" Cancer Research. 52. 5770-5774 (1992)
-
[Publications] Tsukita,S.: "Molecular linkage between cadherin and actin filaments in cell-to-cell adherens junctions." Current Opinion in Cell Biology. 4. 834-839 (1992)
-
[Publications] Yonemura,S.: "Concentration of an integral membrane protein,CD43(leukosialin,sialophorin),in the cleavage furrow through the interaction of its cytoplasmic domair" Journal of Cell Biology.
-
[Publications] Funatsu,T.: "Elastic filaments in situ in cardiac muscle:Deep-etch replica analysis in combination with selective removal of actin and myosin filaments." Journal of Cell Biology.