1993 Fiscal Year Annual Research Report
デキストラン誘導体-磁性酸化鉄超微粒子複合体の生体応用に関する研究
Project/Area Number |
04559004
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
丸野 重雄 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (60024204)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八木 一夫 三重大学, 工学部, 講師 (50201819)
花市 敬正 名古屋工業大学, 工学部, 助手 (90252311)
川口 健 名古屋工業大学, 工学部, 講師 (80144195)
坂本 功 名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (80094267)
藤墳 規明 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (60101268)
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Keywords | 生体適用磁性流体 / デキストラン / 超微粒子 / 電顕観察 / パルスNMR / MRI造影効果 |
Research Abstract |
分子量の異なるアルカリ処理デキストラン(ATD)及びカルボキシルメチルデキストラン(CMD)と、磁性酸化鉄超微粒子(コアサイズ3.8〜10nm)からなる磁性流体DM(ATDM及びCMDM)について以下の研究成果を得たので報告する。(1)コア(芯)粒子分布の狭い(粒径の揃った)粒子の分画精製法を確立した。(2)動的光散乱法により求めたATDM及びCMDMの溶液中での平均的な全体径の結果は、ATDM(90nm)>CMDM(65nm)であり、in vitroにおける化学的性質及びin vivoでの生物化学的安定性をもとに、DM複合体のConformation(立体配座)を提示できた。(3)DMの磁気特性の温度変化(常温〜850℃)から、冷却過程の高温域では、空気及びアルゴン雰囲気ともに、酸化鉄の還元によりα-Feが生成される。即ち、ATDMでは820℃で炭素(C)を固溶したγ-Feからα-Feが、CMDMでは723℃で共晶反応によりα-FeとFe_3Cが生成されることが明らかになった。(4)水溶液等数種の溶媒中での、DMにおけるATDとCMDの解離定数が求められ、10^<-7>〜10^<-8>オーダと小さく、かつATD>CMDであり、両者の分子ともにコア酸化鉄と強く結合している。(5)パルスNMRによるT_1及びT_2緩和能力は、ATDM及びCMDMともコアサイズの大きいものほど大きくなる。又T_1、T_2緩和能力の温度変化(〜80℃)は、温度の上昇とともに直線的に減少し、DMコアの磁気特性よりもDMをとりまく水分子(自由水)の運動の温度変化と深く関係している。(6)DMのラットへの投与後1時間〜2週間にわたる各種臓器(肝臓、脾臓、腎臓、血液等)への取り込みと代謝の経過を、ATDM、CMDM及びそれぞれのコアサイズによって区分し、T_1及びT_2測定により追跡調査した。ATDMは、細胞内皮系臓器(特に肝臓及び脾臓)への取り込みが速く、代謝も速やかに行われる。一方CMDMは、1日近く血液中に滞留し、ゆっくりと代謝される(コア粒子径が小さい程長くなる傾向が認められた)。(7)DM投与40分後のラットのMRI像を撮影し(T_1及びT_2強調画像)、ATDM及びCMDM共に実用に供し得る造影効果が充分にあることを確認できた。特に前者は、肝臓の造影効果が著しい。(8)鉄染色反応(ペルシャンブルー)により、投与後1日経過した各臓器内の残存CMDMの観察を行った。肝臓では、内皮細胞(Kupper cell)内に脾臓では自由大食細胞(Macrophage)内にみられた。(9)電顕により、各臓器内の(特に、肝臓、脾臓及び腎臓)のCMDMの存在形態と経時変化、並びに生物組織的観察を行った。投与と同時にLysosomeに取り込みが認められ、1週間後にはDMの存在確認が困難となり、2週間後ではほとんど不可能であった。即ち、Lysosomeに取り込まれたCMDMは、1〜2週間で徐々に代謝されてゆく。その際、コア粒子は投与2時間後の凝集状顆粒状粒子(約10nm)から、3nm以下の超微粒子となり、生体内での酸化が進行し、Fe_3O_4はα-Fe_2O_3に変化していることがわかった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] M.Hasegawa: "Synthesis of Dextran-Magnetic Iron Oxide Complex and Its Cemicel and Medical Properties" Proc.6th Int.Conference on Ferrites(Kyoto,1992). 1007-1010
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[Publications] T.Moriya: "Mossbauer Effects of Dextran-Magnetic Iron Oxide Complexes" Proc.6th Int.Conference on Ferrites(Kyoto,1992). 1023-1026
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[Publications] K.Yagi: "Basic studies on the application of dextran-magnetic iron oxide to MRI contrast agent" Trans.4th Intern.Conf.Biointeraction's 93. 53
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[Publications] T.Hanaichi: "Structure and Location of Dextran-Iron Oxide Magnetic Fluid iv-Injected into Rats" Proc.13th Intern.Cong.on Electron Microscopy.