1992 Fiscal Year Annual Research Report
磁場の生体影響を高感度に検出する装置と実験系の開発
Project/Area Number |
04559006
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮越 順二 京都大学, 医学部, 講師 (70121572)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武部 啓 京都大学, 医学部, 教授 (10028318)
塚田 俊彦 京都大学, 医学部, 助手 (10207334)
平岡 真寛 京都大学, 医学部, 助教授 (70173218)
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Keywords | 磁石 / 極低周波変動磁場 / 培養細胞 / 放射線感受性 / 遺伝子発現 / 情報伝達 |
Research Abstract |
今日、日常生活にて、人工的な電磁場に曝される機会が増大している。このような電磁場が細胞諸機能に与える影響を検討するため、電磁場の長時間曝露できる装置を設計し、開発試作した。磁場は50Hzまたは60Hzの極低周波変動磁場(ELFと略す)で、装置の概要は、磁石本体、内臓細胞培養器、電源、磁石冷却機、空気とCO2混合ガス調製器、および培養器保温用温水還流器から構成されている。作製したELF曝露装置の磁場条件をガウスメータ、オシロスコープおよびレコーダを用いて正確に測定し、最大出力0.4Tで0から0.4Tまで可変可能で長時間に渡って安定した磁場曝露が可能なことを確認した。ELF曝露時、磁場密度に依存して培養器内の温度が上昇するため、出力に応じた冷却水の温度を種々検討し、出力の変化によっても正常な培養条件温度を保持できるよう条件を設定した。CO2ガス制御についても、培養器内培養液のpHを長時間測定し、通常の培養環境(pH7.2〜pH7.4)を十分満たしていることを確認した。以上、装置の作動況状について十分なチェックを行い、細胞を用いたELFの生物学的影響を見る実験を開始した。まず、ELF曝露時の細胞の増殖および致死に対する効果を検討した。細胞はヒト由来白血病リンパ球(HL60、CCRF-CEM)および線維芽細胞(GM0637、TAT2SF)を用いた。0.4T曝露下における細胞増殖は、対称のそれと有意な差がなく、また、磁場単独による致死効果も認められなかった。次に、放射線高感受性細胞TAT2SFを用いて放射線感受性に対するELFの修飾効果について正常細胞GM0637と比較検討した。放射線照射後、0.4Tで2時間曝露したが、TAT2SFおよびGM0637、それぞれの放射線感受性は非曝磁群と有意に差はなかった。現在、ELFの生物学的影響として、遺伝子発現、情報伝達系など分子レベルの実験に着手しつつある。
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