1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04610004
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
西川 亮 広島大学, 文学部, 教授 (30033484)
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Keywords | エピクロス / ルクレティウス / キケロ / 神観 / 古代原子論 / エイドーラ(エイドーロン) |
Research Abstract |
本研究の目的は、レウキッポスやデモクリトスにはじまる古代初期原子論が、ヘレニズム期の自然哲学のみならず、諸学芸・技術などに与えた影響について、とりわけエピクロスならびにエピクロス学派や、それを継承した思想を中心に文献学的に調査吟味することを主眼としている。特に今回は、エピクロスの「残された散逸文書」「書翰の断片」「出所不明の断片」の研究とH.Usenerの編集した古代記録の検討によって、エピクロスやその周辺の思想研究を行いたいということから出発した。研究方法としては従来の方法を踏襲し、先ず本研究者が未解決としていたエピクロスにおける宗教観や神観の研究を行なった。 その研究成果は、「エピクロスの神観-2種類の神々をめぐって-」という論文に纏めた。この論文において、エピクロスが2種類の神々を認めたか否かについて、「主要教説」に対するスコリアとキケロの叙述との関連を吟味することによって論究した。結論として、エイドーラの起源としての中間世界の神々と、それから派生するエイドーラの神々との2種類があるとエピクロスが考えた旨を指摘した。 無論、以上のような研究成果を得るためには、収集した資料の分析はもとよりPC-9801FA周辺の環境整備を本研究費によって行ったことによっている。なお上記の論文作成に当って分析した資料のデーターベス化やエピクロスの残された文書ならびに断片の研究を次年度において翻訳文を付しながら発表するよう準備している。
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