1992 Fiscal Year Annual Research Report
乳児期の母子関係と母子愛着が行動の自己制御機能の発達に及ぼす影響
Project/Area Number |
04610036
|
Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
氏家 達夫 福島大学, 教育学部, 助教授 (00168684)
|
Keywords | 母親のコントロール / 子どもの従順さ / 反抗 / 自己主張 / 愛着の性質 |
Research Abstract |
18カ月分の測定がすべて終了した。平成4年7月から平成5年2月まで55組分の測定を行った。測定は家庭で行い、30分間の自由な母子相互交渉場面、15分間の母親による教示場面、15分間の訪問者による子どもへのテスト、約1時間の母親への面接、留置法による質問紙調査を行った。自由な母子相互交渉場面では、子ども行動に対する母親の統制方略とそれに対する子どもの従順さや反抗、自己主張の測定、母親による教示場面では、母親の情報の与え方や統制方略と子どもの従順さや反抗、熟慮性の測定、訪問者によるテストは、行動の抑制傾向と衝動性を測定と家庭版strange situationを行った。母親への面接では、日常生活での子どもの反抗や自己主張、自己制御行動、しつけについて聞いた。測定終了分からコーディングとコンピュータ入力を行ってきたが、全サンプルの測定終了が年度末ぎりぎりであったこと、1ケースにつき約2時間の観察とインタビューの資料があり、分析に多くの時間がかかるため、報告書作成段階ではまだ、全ケースのデータ入力が終わっていない状況で、最終分析ができていない。平成5年度早々に、18カ月分の全ケースの入力を終え、最終分析を行う予定である。今年度は、24カ月時の測定も部分的に行った。平成5年3月一杯で28組分の測定が終了した。残り28組分の測定は、平成5年4月以降に実施予定である。測定内容は18カ月と同じである。 予備的分析で得られた知見だけを報告する。妊娠期から生後1年間の母親の心理状態が、子どもの自己制御行動に影響しているらしい。母親の心理的安定が安定した愛着を生み、それがより発達した自己制御行動を生み出している。と同時に、母親の心理的安定が、子どもの自己主張や反抗、失敗に対する母親の寛容性を生み出し、それが自己制御機能の発達にプラスの働きをしていることが示された。
|