1992 Fiscal Year Annual Research Report
知能障害の動物モデル(ラット胎児性アルコール症候群)の行動・生理特性に関する研究
Project/Area Number |
04610046
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
中村 圭佐 福井大学, 教育学部, 教授 (50020128)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三橋 美典 福井大学, 教育学部, 助教授 (20157556)
藤澤 清 福井大学, 教育学部, 教授 (50020087)
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Keywords | FAS / ラットモデル / 活動量 / サーカディアンリズム / 幼若期のリズム形成 / 照明条件同調過程 / 受動的回避学習 / 脳波基礎律動 |
Research Abstract |
本研究では、母親の妊娠中のアルコール飲用により、その子に見られる障害として知られる胎児性アルコール症候群(FAS)のモデルラットについて、その行動・生理特性を明らかにすることを目的とし、以下の項目について検討を進めている。1.ラットFAS作製手続の検討。2.長期間活動量測定とその周期性の検討、3.幼若期の受動的回避学習の検討。4.各種随意運動時及びREM睡眠時おける海馬脳波の検討。本年度は2年計画の初年度のため、実験を継続中で明確にはし得ないが、これまでに得られた結果の内、主なものは以下の通りである。1.ラットFAS作製手続:母ラットの妊娠中に、比較的低濃度の6%アルコール水溶液を投与する方法を用いた。母・子に関する種々の計測・観察により、低栄養障害・周産期障害等の他の要因を除き得る投与濃度であることを再確認した。2.活動量とその周期性:生後21齢から85日齢までの間、個別ケージ内での活動量を自動・連続記録し、単位時間(10分間)当りの活動量の周期性・リズム形成過程を検討している。特に照明条件の変化(恒暗・12-12時間明暗交代とその6時間前進/後退条件の組合せ)に伴う活動量の変化とリズムの再同調過程に注目した。総活動量は前進条件より後退条件で高く、FAS群は統制(水)群より高い傾向が見られる。両群とも各照明条件下でサーカディアンリズムを形成するが、照明条件の変化に伴う再同調過程では、FAS群の方が新しい照明条件に早期に同調する傾向を示した。3.受動的回避学習:生後21・46・70日齢より各10日間の実験計画で実施している。現在までの結果では、電撃経験後に再度電撃箱に入るまでの消去日数が、FAS群でのやや遅い傾向と、群内での個体差がより大きい傾向を認めている。4.随意運動時及びREM睡眠時の海馬脳波:現在成体の脳波記録を蓄積中であり、データはパワスペクトル分析法により解析する計画である。
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