1993 Fiscal Year Annual Research Report
相互依存性の性質と自己解釈図式が対人影響行動に及ぼす効果の検討
Project/Area Number |
04610059
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
黒川 正流 広島大学, 総合科学部, 教授 (90037036)
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Keywords | 自己解釈図式 / 独立的自己 / 相互依存的自己 / 相互依存性 / 対人影響行動 / 対人的状況 / 理想自己像 / 自己定位 |
Research Abstract |
社会行動様式の文化差の説明用具として,他者との関係における自己の位置づけを統一的に説明する「自己解釈図式」という概念に注目した。本研究では,同一文化圏の人々の自己解釈図式の相違が,さまざまな性質をもつ相互依存的関係性における対人影響行動に及ぼす異なる効果の吟味検証を試みた。 1.H.H.Kelleyら(1978他)の相互依存理論で用いられる2×2マトリクスを分析用具として,青年期の親子関係の相互依存構造を吟味した。親と子の間に個々の相互作用状況を越えた一貫性,すなわち行動統制主体の親に対する再帰統制と運命続制を発達させる子,という相互依存関係パターンを同定した。 2.Markus and Kitayama(1991)が開発した自己解釈図式測定尺度に改訂を加え,当今の若者の日常生活に普遍的と思われる項目からなる測定尺度を作成し,その妥当性を検証した。 3.自己解釈図式と,物理的知覚課題に関する認知スタイルとの間に若干の有意な関係を見出した。 4.従来,一般的な他者として処理してきた自他関係をウチなる他者とソトなる他者にわけて,両状況での自己図式を測定する測定尺度を開発した。相互依存性はミウチを対象としたとき高くなったが,独立性の高さの対象による変動はあまり見られなかった。 5.ウチなる他者との間に発現する自己図式とソトに対して発現する自己図式のタイプを組み合わせ,恋人との関係に,そのカップルをとりまく社会的関係性がどのように影響するかを実験的に吟味した。 6.自己解釈図式の独立性と相互依存性が青年の抱く理想自己の設定と現実自己の定位に及ぼす効果を検討した。その結果,自己解釈図式が相互依存的である者ほど正負の理想自己像を高く認知する傾向が認められた。
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