1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04610061
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
藤田 尚文 高知大学, 教育学部, 助教授 (10165384)
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Keywords | スリット視 / 計算理論 / 3次元物体 |
Research Abstract |
前年度に見いだした2次元事態における図形伸縮の問題解明の手がかりをさらに押し進め、スリット視における伸縮の主要因は、(1)鋭角の過大視に起因する速度の過大視と、(2)スリットの両端を通過するさいの速度の過小視によるものであるという、理論を完成させた。神経生理学的には速度検出するニューロンが一定の時定数のもとでの移動距離を求めていて、当該ニューロンの受容野の一部が覆い隠されていると、その程度に応じて速度が過小視されるのではないかという仮説が提出された。 3次元問題に関しては、剛体性、角速度一定、回転軸固定という制約条件のもとで、3点の位置が3回与えられれば、スリット視の事態で奥行きを復元できるという、計算理論を作り上げた。この理論は人間の知覚特性をある意味で反映するものであり、物体の回転軸と直交する方向(回転の長軸方向)がスリット内にあるとき、3次元情報を復元しやすく、この方向がスリットの方向から逸脱する程度の応じて計算結果に誤差が入り込んでくるという性質をもっている。 スリット視条件下で人間は物体の3次元性をどの程度知覚できるかという問題をさらに検討するために、スリット内に与えられる線分の本数と剛体性の関係についての実験を行った。これによるとスリット内に線分が与えられる本数は3から6本のときもっとも剛体的と知覚され、線分の本数がこれより少なくても、これより多くても剛体性は低下する傾向が見いだされた。
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