1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04610074
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
深田 芳郎 帝京大学, 文学部, 教授 (50199163)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鹿取 廣人 帝京大学, 文学部, 教授 (80012300)
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Keywords | 図形認知 / 部分視 / 図形走査運動 / 図形構成運動 |
Research Abstract |
視覚認知行動は視覚刺激と、これを主体側が積極的に取り入れる反応過程との間の相互作用によって成立する。このような図形認知成立過程で働く相互作用を行動的側面から解明するため、視野制限状況下の走査行動、図形構成反応を解析した。図形の異同を判定する課題(1)では、被験者の手にしたポインタ周辺の限られた窓内のみがディスプレイ画面上に呈示される部分視条件で、継次的に呈示される2つの図形の異同を判定する。8種の12角形の中の1個を標準図形として5秒呈示し、続いて比較図形が呈示された。各図形間には次のような関係がある。図形の中心を通る垂直線と水平線によって4分割される各象限に含まれる部分図形が1つの象限では全ての図形について同一、他の1つの象限は全ての図形について異なり、残り2象限はこの中間とし、異同判断のための情報量が象限毎に異なる事態を呈示図形の側で設定した。観察窓は各象限の8分の1、4分の1の直径の円2種類とした。被験者は観察条件別に男女学生各8名を用いた。28試行を3セッション反復し、この間に示す図形走査の方略とその変化過程を調べた。結果として、情報量が最大の象限の走査に最も時間を費やしたのは予想されたことであるが、窓の小さい条件のほうが、最初は輪郭をたどる運動から図形の特徴をおさえる飛び越し走査へと、走査の仕方に改善が見られた。観察に有利な大きい窓の方が走査の仕方に変化が少なく、各セッション後に描いた標準図形の正確度は窓の小さい方が高かった。また課題の性質から、「異」判断の方が「同一」判断より早く達成できた。ペンによって図形を再生する課題(2)では、図形全体の構造が把握されるに従って描画運動が統一性のない部分運動の集積から全体として構造化された運動へと移行する。このように図形の走査時、再生時の運動過程の動的解析を進めることで図形認知に関する新たな知見が得られるものと考えられる。
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