1992 Fiscal Year Annual Research Report
異なる長さの嫌悪刺激の予期と残効に関する実験的・理論的研究
Project/Area Number |
04610081
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
今田 寛 関西学院大学, 文学部, 教授 (60079613)
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Keywords | ラット / 摂水行動 / 条件性抑制 / 電撃の長さ / 予期 / 残効 / 条件づけ理論 / 相反過程理論 |
Research Abstract |
以下の実験はすべて、ラットの摂水行動をベースラインとする条件性抑制場面において、格子床電撃を用いて行われた。 1.異なる長さの電撃の予期に関する実験 【実験1】異なる長さの電撃の嫌悪度の違いを確認するため、0.35,0.70,1.30,2.50,4.90秒の電撃を5群のラットに無信号(予測不可能)で与え、ベースラインの抑制の程度を調べたところ'電撃の長さの増加関数として抑制は顕著になった。 【実験2】前実験と同じ5つの異なる長さの電撃を無条件刺激として用いて条件性抑制の実験を実施したが、条件づけ期には5群間の条件性抑制に差は認められず、消去期においてわずかに2.50,4.90秒群の消去が遅れた。 【実験3】0.7秒と4.9秒の二つの長さの電撃を無条件刺激として条件性抑制の実験を行った。3群のラットを用い、2つの群には異なる長さの電撃を用い(被験体間計画)、第三の群では異なる長さの電撃と相関させて異なるモダリティーの条件刺激(音と光)を与えた(被験体内計画)。結果は、被験体間計画の場合には2群間の条件性抑制に差が見られなかったが、被験体内計画を用いた場合には長い電撃に伴われる条件刺激に対して、短い電撃に伴われる条件刺激に対するよりも、顕著な条件性抑制が見られ、その差は大きくかつ有意であった。 2.異なる長さの電撃の残効に関する実験 【実験1】条件性抑制を形成後、条件刺激の直前に異なる長さの電撃を与え、それのもつ脱抑制効果について検討した。用いた電撃は、0.00,0.18,0.35,0.53,0.70,1.00,1.30,1.90,2.50秒であった。電撃の長さの増加関数として脱抑制の程度は大きくなる傾向が認められた。 予期に関する実験結果は従来の学習理論の中で解決し難い事実を含み、また残効に関する実験結果も、情動喚起刺激の残効の問題を扱う相反過程理論で解決し難い事実を含んでおり、今後の理論的考察が必要である。
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[Publications] 川合 伸幸・今田 寛: "条件性抑制におけるUS持続時間の効果ー1ー(ラット)" 日本動物心理学会第52回大会プログラム. 34-35 (1992)
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[Publications] 川合 伸幸・今田 寛: "条件性抑制におけるUS持続時間の効果ー2ー" 日本心理学会第56回大会発表論文集. 438- (1992)
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[Publications] 小林 千恵美・今田 寛: "持続時間の異なる嫌悪刺激が直後の条件性抑制に及ぼす効果" 関西心理学会第104回大会発表論文集. 34- (1992)