1993 Fiscal Year Annual Research Report
異なる長さの嫌悪刺激の予期と残効に関する実験的・理論的研究
Project/Area Number |
04610081
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
今田 寛 関西学院大学, 文学部, 教授 (60079613)
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Keywords | ラット / 摂水行動 / 条件性抑制 / 電撃の長さ / 予期 / 残効 / 条件づけ理論 / 相反過程理論 |
Research Abstract |
1.実験目的:無条件刺激(US、grid shock)の長さの違いがラットの条件性抑制に及ぼす効果を、異なる長さのUSを「対比」させる機会において異なる5つの条件の下で検討し、USの長さを対比させる機会が多いほど、USの長さの効果がより速く、より顕著に現われるであろうと仮説を検討した。2.被験体および装置:被験体は雄Wistar系ラット50匹。用いた装置は摂水行動をベースラインとする条件性抑制の装置。3.実験手続き:1日5分間の訓練によって摂水行動のベースラインが十分に安定した後に、各10秒間の2種類の条件刺激(CS;光および音)が各2回ずつ提示される条件づけセッションが25日間続けられた。但しそのうち5セッションは後述のテスト日であった。S群では短いUS(0.7秒)による試行(S試行)のみが、L群では長いUS(4.9秒)による試行(L試行)のみが与えられたが、その他の群では2種類のCSが異なる長さのUSと相関させて与えられた。但しSL群ではS試行とL試行が交互に与えられ、SSLL群ではS試行L試行がそれぞれ2回連続して与えられた。SS/LL群ではS試行のみの日とL試行のみの日が交互に与えられた。4日の条件づけ日が終わる毎にテスト日が1日挿入され、この日には2種類のCSのみがUSなしで与えられた。4.実験結果:結果の分析は5回のテスト日に関してのみなされた。S群とL群間には条件づけに全く差はなく、これは前年度の結果を確認することになった。その他の群では、L試行での条件性抑制の方がS試行でのそれよりも顕著であった。ただその差の現れる速さは、SL,SSLL,SS/LLの順であり、異なる長さのUSを接近して対比させる機会が多いほどUSの長さの弁別が速いことが証明された。 以上の実験結果が、古典的条件づけの諸理論との関係において考察された。
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