1992 Fiscal Year Annual Research Report
日本語の表記形態の標準化とその認知心理学的妥当性の研究
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04610082
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
賀集 寛 関西学院大学, 文学部, 教授 (20090730)
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Keywords | 日本語の表記形態 / 漢字 / ひらがな / カタカナ / 主観的出現頻度 / 音読反応時間 / 偶発再認 / SD法 |
Research Abstract |
目的:1、日本語の表記形態(漢字・ひらがな・カタカナ)の主観的出現頻度の標準的資料作成のため、以前の予備調査を参考にして、調査を行う。2、表記形態の主観的出現頻度の妥当性を、認知心理学的方法を用いて調べる。3、表記形態が文学作品の評価に及ぼす効果をみる。 表記形態の主観的出現頻度調査:動物や家具等30のカテゴリに属する語から計750語を選択、これを4群に分け、一つの語を漢字、ひらがな、カタカナで表記し、各表記を目にする度合いを「よくみる」「みることもある」「みることはない」の基準で、大学生に評定してもらった。なお、評定の信頼性をみるため、共通の30語を各群に挿入した。最終的には各群200名のデータを収集の予定であるが、本年度は各群約70名分を収集した。従って、結果はまだ報告できる段階にない。 表記形態の主観的出現頻度の認知的妥当性の研究:予備調査の資料より、漢字型、ひらがな型、漢字・ひらがな型の語各8語を選択、半数づつ漢字表記とひらがな表記で大学生に提示し、1、音読反応時間を測定した。その結果、反応時間は、(1)ひらがな表記では、三つの型とも差はなかったが、(2)漢字表記では、ひらがな型が他の二つの型よりも遅かった。2、音読に続いて音読した語の偶発再認を求めた。ターゲット語は音読時と同表記、異表記半数づつとした。その結果、再認成績は、(1)三つの型とも、音読時漢字表記の語はひらがな表記の語よりも優れ、(2)漢字型において、再認時漢字表記の語はひらがな表記の語よりもまさった。なお、認知的の妥当性の考察は次年度の研究結果を待って報告の予定。 表記形態が俳句の評価に及ぼす効果:俳句の季語の部分を、漢字、ひらがな、カタカナに変えて提示し、俳句全体の印象をSD法で大学生に評価させたところ、ひらがな表記の場合、漢字やカタカナ表記の場合に比べて、よい評価をしていることが分った。
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