1992 Fiscal Year Annual Research Report
女性労働者のワーキングライフと生活価値に関する実証的研究
Project/Area Number |
04610097
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
木本 喜美子 一橋大学, 社会学部, 助教授 (50127651)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 由紀 一橋大学, 社会学部, 助手 (80168020)
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Keywords | 女性労働 / 百貨店労働 / フェミニズム / 雇用管理システム |
Research Abstract |
平成4年度の研究の第一の柱は、女性労働および女性学にかかわる研究動向についての文献サーヴェイにおかれた。このサーヴェイを通じて、国内における女性学およびフェミニズム理論において女性労働の位置づけが手薄であることが明かとなった。近年のフェミニズムをめぐる論議は日本でも活況を呈しているかのようにみえるが、端的に言えば「労働なきフェミニズム議論」とも言える状況であり、女性労働の実態を踏まえた内容には必ずしもなっていない。その点ではイギリスを中心とするフェミニズム視角を踏まえた研究は、家族とともに女性労働が議論の要に据えられており、学ぶべき点が多い。ただしこれまでところでは、イギリスにおけるこの分野の歴史的アプローチを中心に見てきたので、来年度は現実分析の研究動向およびその方法論を中心にさらにサーヴェイを進める予定である。また第二の柱である実態調査のための準備としては、これまで首都圏、地方都市の代表的な百貨店における女性社員の雇用管理システムについてのヒアリングを行ってきた。前述の文献サーヴェイを先行させたため、このヒアリング調査への着手がやや遅れたため、来年度の前半にもこの調査を続行する必要があると考えている。当初は代表的な百貨店数社程度のヒアリングにとどめる予定であったが、対象企業をさらに広げる方針に変更したのは以下の理由による。国内の既存の労働調査研究全体のなかで百貨店についてのものがきわめて少なく、参考にしうる一定の研究蓄積がある領域はスーパーマーケット業界に限られていることが判明した。したがって百貨店労働自体の雇用管理システムおよび労働実態についての全体像の見取り図を描くことは重要な意味をもつことになるし、またその上でなければ本研究の課題に迫ることできない。百貨店労働研究としても先鞭をつけるような実態調査を次年度に続行したいと考える。
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