1992 Fiscal Year Annual Research Report
現代社会におけるプロフェッションの役割・機能の変容についての調査研究
Project/Area Number |
04610107
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
米田 頼司 和歌山大学, 教育学部, 助教授 (60144101)
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Keywords | プロフェッション / 保健婦 / 地域組織活動 / 援助行動論 |
Research Abstract |
保健婦を事例とすることにより、現代社会におけるプロフェッションの“現存在"とその役割・機能の歴史的変容の動向を明らかにし、プロフェッション論の理論的再構成のために必要な立脚点の構築を図る、という今回の調査研究の課題に即して、この間、理論的検討として、プロフェッション論、地域組織活動論(コミュニティ・オーガニゼーション論)及び援助行動論の検討を行い、並行して、保健婦による地域組織活動論及び家庭訪問によるケースワークにおけるプロフェッションとしての役割・機能に関する実態調査及び事例研究を行ってきた。その結果、保健婦の役割・機能は、従来、専門職、プロフェッションを論ずる際に典型的なものとして例示され、あるいはモデル化される、臨床場面における医師の役割・機能とは、以下のような点で、極めて対照的なものであることが明らかになった。1.臨床場面の医師の場合、その診断、治療行為の対象者は、常に、明確であり、そして、特殊な場合を除いて、それは、ある特定の個人であるのに対して、保健婦の援助対象となるのは、必ずしも常に明確ではなく、また、個人でもない。援助過程の進展は、援助対象者の拡大を含むものであり、また、多くの場合あるグループないし特定の人間関係のネットワークを含むものである。2.また、保健婦の援助行動は、対象者の生活の場への“訪問"-“介入"を通じて、対象者との間にある種の相互関係(“信頼関係")の樹立を経ねば、その展開を図り得ないものである。3.このような保健婦の援助行動のあり方とその変遷・展開の歴史は、これまで専門職論において、あまり議論されることもなく、マイナーな位置づけしかなされていないが、疾病構造の変容、高齢化社会の到来、及び現代化した様相下での新たな保健・医療課題に対し、臨床医療の限界が顕在化するなかで、逆相関の形で、注目すべきものになっている。
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Research Products
(1 results)