1992 Fiscal Year Annual Research Report
町村レベルにおける高齢者在宅福祉サービスの展開に関する研究
Project/Area Number |
04610122
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Research Institution | Tokyo Metropolitan College of Allied Medical Sciences |
Principal Investigator |
佐藤 林正 東京都立医療技術短期大学, 一般教養科, 教授 (30133341)
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Keywords | 在宅福祉サービス / 市町村保健福祉計画 / 老人家庭奉仕員派遣 / ディサービス |
Research Abstract |
近年のわが国の人口高齢化の進展に対して、国は従来の老人病院や特別養護老人ホーム等の施設での介護という施設サービスを主体とした仕組みから、要介護者を地域で介護するという在宅福祉主体のサービスに転換することにしてそのシステムづくりを推進してきた。ところが、家族の縮小化や家族機能の弱体化、地域連帯感の喪失、女性の社会進出などにより家庭内介護は困難となりつつある。このような状況に対して国は、福祉8法の改正や高齢者保健福祉推進十か年戦略に基づき、老人家庭奉仕員派遣事業、在宅老人ディサービス事業、老人日常生活用具給付等事業、などの在宅福祉支援対策を強化している。本研究では、市町村に権限委譲されたものの、財政、マンパワー、現有施設等において、市町村間格差があり、すべての高齢者に均質なサービスとなっていない、特に町村においては、利用できる社会資源が乏しいため、福祉改革の潮流の中で市町村の役割に大きな期待が寄せられているにもかかわらず在宅福祉活動に大きな制約があるという仮説に立って全国の町村の半数の1290の自治体の福祉担当者の調査を実施した。その結果、以下のことが判明した。1.高齢者在宅サービスの内容と実施状況は不十分であった。2.マンパワー不足と施設の未整備。3.在宅福祉サービスへの転換や提供のあり方に対する種々の批判が多い。とはいえ、多様な在宅サービスが実施されている。4.在宅サービスの活動組織形態と連携が資源不足等により進んでいない。5.町村保健福祉計画は、現時点では策定済みは少なく、策定に着手したばかりのところが多かった。なお、研究成果は地域福祉学会で報告し、次年度も町村保健福祉計画の策定過程を中心に検討を実施する予定である。
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