1992 Fiscal Year Annual Research Report
今日の「教育困難校」における学校文化の変様に関する調査研究
Project/Area Number |
04610163
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Research Institution | Sagami Women's University |
Principal Investigator |
鈴木 聡 相模女子大学, 学芸学部, 講師 (70179208)
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Keywords | 学校文化 / 教育困難校 / エスノグラフィー |
Research Abstract |
本研究は、「教育困難校」の現場に働く教員との共同の研究として、東京、神奈川、埼玉の高校普通科「底辺校」を対象として、学校文化の今日的変様を調査、分析しようとするものである。初年度である平成4年度における研究の経過は、以下のとおりである。 1)「底辺校」の学校文化の外枠を規定するものとして、教育課程の構造、進級・卒業に関する評価システム、生徒管理に関する慣行・システムの3つに焦点をすえた。そして、東京、神奈川、埼玉、さらに愛知、京都の普通科の現場教員へのヒアリング、及び共同対議を継続的におこないながら、上の3つの領域におけるこの5年間ほどの変様の動向に関する基礎的データの収集と分析をすすめてきた。 2)その中で、今日的な「教育困難」の重圧が、かかる学校文化の構成要素の、きわめて大きな変様をうながしつつある実態がうきぼりにされた。他方で、対抗文化としての生徒文化の内実を明らかにするために、調査対象の5校から20名ほどの生徒に、彼らの学校観、教師観をうきぼりにするためのヒアリング調査をおこなった。制度としてのフォーマルな学校文化と、大衆的青年文化としての生徒文化とのズレの、今日の姿をある程度、分析することができた。 3)「教育困難校」のこのような現状をふまえて、これからの高校教育のビジョンを構想するとき、大きな理論問題となるのが、共通教養論を含めての「文化と平等」をめぐる問題である。このテーマについて論文を執筆し、一定の新たな知見を提示することができた。
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Research Products
(1 results)