1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04610245
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
福永 伸哉 大阪大学, 文学部, 助手 (50189958)
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Keywords | 共同墓地 / 方形周溝墓 / 弥生時代 / 古墳時代 |
Research Abstract |
本年度は研究の基礎となる資料収集とその整理に重点をおいた。とくに弥生時代〜古墳時代の共同墓地の葬制にかんする事例を重点的にあたった。具体的には弥生時代の方形周溝墓群、古墳時代の密集土壙墓群、横穴式石室群集墳の事例について発掘調査報告書などの文献探索と実地調査による資料収集をおこなった。現地調査としてはこのテーマに関連する発掘調査である兵庫県東武庫遺跡、福井県小羽山遺跡、愛媛県妙見山古墳、大阪府西大井遺跡、京都府瓦谷遺跡などの現場を視察したほか、関連テーマの研究集会にも積極的に参加して各地の研究者と意見交換をおこなった。こうして得られた資料について、計画段階で設定した埋葬施設構造、継続期間、副葬品、墓地の階層構造などの観点で分析を進めている。この過程では階層的に対極にある存在である首長墓の葬制との比較研究も視野にいれている。分析を通じて上述の観点のなかの埋葬施設構造、とりわけ棺構造において階層性や地域性、集団差が顕著に表れており、その時期的変遷を検討していくことによってその背後にある集団の変質に迫ることができるとの見通しを得た。来年度は本研究の総括をおこなう年であるが、とくに埋葬施設構造という要素を中心的な論点に据えるのが有効であると考えられる。 本年度は資料収集という基礎的な作業が主体であったが、その過程において弥生時代〜古墳時代の墓制変遷の道筋を整理することができた。この点についてはその概要を公刊する予定である。
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