1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04610261
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
玉城 政美 琉球大学, 法文学部, 助教授 (30101455)
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Keywords | 古謡 / 機能 / 構造 / 主題 / 思想 / 歌形 / 歌唱法 / 儀礼 |
Research Abstract |
今年度は池間島の臨地調査を数回実施して,約20首の古謡を収集することができた。これらの資料は国際音声記号およびかな文字を用いて翻字した。既刊の文献資料から収集したものとあわせて、歌形論的整理および対訳作業を進めている。この作業にはインフォーマントからの聞き取り調査の成果が反映されている。なお、現地のインフォーマントの説明によって、まだ数十首以上の古謡が伝承されていることが確認された。 今年度は、予備調査的な性格をもたせて、古謡の存在状態を確認する作業を主にしたので、収集した古謡の数はかならずしも多いとはいえないが、今後の収集作業はそれほど困難な状況にはないという感触をえることができた。当初の研究目的・計画・方法どおりに、順調に進行している。しかし、池間島では宗教行事のもっとも中心になるツカサ(司、神職者)が現在欠員になっているために、宗教的な古謡を実現する際の状況を映像や音声によって記録することが不可能になっている。だが、ツカサ職を過去に経験した人々が健在なので、この点に関する聞き取り調査は十分可能であり、いくつかの事例については資料を収集することができた。歌詞の内容を主題・思想・構造論的な観点から分析する作業に関する着手もはじめた。その見通しによれば、池間島の古謡は、宗教的な内容から世俗的な内容にいたるまで、多岐にわたる主題を表現し、機能論的に多様な様相をしめしていて、たいへん興味ぶかいものがある。 構造に関しても、他の琉球列島においては確認されていない事例が存在する。
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