1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04610273
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
興膳 宏 京都大学, 文学部, 教授 (70023984)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木津 祐子 京都大学, 文学部, 助手 (90242990)
平田 昌司 京都大学, 文学部, 助教授 (50150321)
川合 康三 京都大学, 文学部, 助教授 (40108965)
日野 龍夫 京都大学, 文学部, 教授 (00044727)
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Keywords | 詩話 / 詩品 / 秀句(佳句) / 詩評 / 詩選 / 唐人選唐詩 |
Research Abstract |
前年度に引き続いて、詩話及び詩話に関連する中国古典詩文や文学理論などを含めて、広く資料の収集に努めた。それらは、いずれも本学部未収の書であり、詩話ならびに中国文学理論の研究のために、将来にわたって有用な役割を果たすと考えられる。 こうした資料面の成果にもとづき、二年間にわたる研究のまとめとして、特に萌芽期の詩話の形成過程に関する諸問題を総括的に論じた。論文「詩品から詩話へ」は、その成果である。「詩話」ということばが出現する宋代以前にあって、詩話の源流となるかなり長い歴史がすでにあったことを、6世紀六朝梁の『詩品』から、唐中期の『河岳英霊集』『中興間気集』等のいわゆる「唐人選唐詩」に至る詩評の実態を分析することを通して、できるだけ詳細に考証した。また唐代の詩話の形成には、詩選編纂の機運の高まりも側面から関連していたことや、その編纂の具体的なありかたを、論文「翰林学士集をめぐって」によって明らかにした。さらに『詩品』以来の詩評では、秀句を効果的に運用することが重要な条件となっていたことを考証し、その方法がわが国の平安朝に流行した『和漢朗詠集』などの秀句集にも影響を及ぼしていることを、「日中秀句考」で論じた。これは日本におけるいわば詩話前史の時期に見られる中国詩評の影響として注目される。 宋代以降、清末に至るまでの詩話は膨大な数に上るが、それらを個々に捉えるだけでなく、系統的に把握する試みにもすでに着手している。その方法としては、詩話相互間の継承・影響関係を逐一解明してゆく必要があり、まとまった成果を得るためには、なお継続的な努力を要する。その目的を達成すべく、今後も計画的に研究を維持してゆくつもりである。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 興膳 宏: "詩品から詩話へ" 中国文学報. 47. 31-63 (1993)
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[Publications] 興膳 宏: "翰林学士集をめぐって(近刊)" 平野顕照教授退休記念論文集. (1994)
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[Publications] 興膳 宏: "日中秀句考" 文藝論叢. 40. 39-56 (1993)