1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04610286
|
Research Institution | RITSUMEIKAN UNIVERSITY |
Principal Investigator |
山本 岩夫 立命館大学, 法学部, 教授 (30066675)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桧原 美恵 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (70181112)
|
Keywords | 日系アメリカ文化 / 日系アメリカ文学 / 翁久允 / 移民地 / 移民地文学 |
Research Abstract |
I.今年度の課題として1)「書簡」の解読・整理とワープロによる活字化の終了、2)「翁久允未発表原稿および資料目録」の完成、3)「翁久允研究論集」の完成、4)翁久允・日系文学関連資料の収集、を設定した。 II.以上の課題について研究協力者との共同化を積極的に進め、計画通り今年度の調査・研究を終了した。その成果の特徴点は以下の通りである。 1.「翁久允所蔵資料」について 1)「翁久允所蔵資料」として、自筆原稿165点、新聞切り抜き3、417点、日記4点、書簡349点を調査・整理し、目録化した。 2)自筆原稿は小説、評論、台本、作品の構想メモなどで、完全原稿は少なく、また執筆年月日の不明のものが多い。 3)新聞切り抜きは彼の文学作品と当時の社会・時事問題に分けられる。 4)日記は1909-1912年のもので、その間、欠けている部分がかなりある。 5)書簡はすべて来簡である。川島天涯からのものがもっとも多く48通ある。 2.「初期日系移民地の文学者としての翁久允」について 1)日系文学史でよく知られている、翁の提唱した「移民地文芸」は時代によってその主張に変化があること、2)翁の描く女性は二世・三世作家の描き切れない、歴史に埋もれた世界があること、3)翁の作品や論説には激動する時代の変化が大きく影響を与えていること、4)翁は1919年以降、移民地社会の抱える社会的政治的問題を積極的に作品の中で取り上げ、新聞記者としても発言したこと、5)翁が活躍したシアトルの日系人社会の形成に経済的発展と各種の団体組織が深く関わっていたこと。
|