1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04610306
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
水谷 智洋 東京大学, 教養学部, 教授 (10011321)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋山 学 東京大学, 教養学部, 助手 (80231843)
本村 凌二 東京大学, 教養学部, 助教授 (40147880)
大貫 隆 東京大学, 教養学部, 助教授 (90138818)
宮本 久雄 東京大学, 教養学部, 教授 (50157682)
山本 巍 東京大学, 教養学部, 教授 (70012515)
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Keywords | 神 / 創造 / 似像 / 霊魂 / 受肉 / 贖罪 / 聖霊 / 変容 |
Research Abstract |
便宜上、時代別に「1.古代ギリシア」「2.旧約時代のイスラエル」「3.新約時代のイスラエル」「4.古代ローマ」「5.ビザンツ時代」という大区分に分割し、各時代ごとに明らかになった「自然理解と人間観」の全体像を記すことにしたい。まず「1.古代ギリシア」においては、特にプラトン主義的哲学によって、人間に内在する霊魂に神的性格からの類推により、宇宙の創造者である神に向けての観想が展開される(水谷、山本)。一方「2.旧約時代のイスラエル」にあっては、人間の悲惨な現状が、堕罪による神の似像性からの逸脱という説明を通して理解される(宮本)。「3.新約時代のイスラエル」においては、上述した人間の堕罪が、神の子イエス・キリストの受肉によって贖われたとするキリスト教神学の誕生を見る(大貫)。一方「4.古代ローマ」においては、古代ギリシアからの世界観が受け継がれる一方、ローマ世界へのキリスト教会の勢力が徐々に拡大される。そして「5.ビザンツ時代」にあっては、古代ギリシア時代に築かれた古典的世界観・人間観、すなわちマクロコスモスとしての自然界・宇宙と、その映し・ミクロコスモスとしての人間という構図が受け継がれたまま、なお発展的要因として、人間の側からの自然界への主体的な働きかけが、イエス・キリストという神人・仲介者の到来によって可能になったという世界観が確立する。すなわちここでは父なる神の自然・人間万般の創造行為に続く人間の堕罪、イエス・キリストの受肉による贖罪、その死による聖霊の到来という一連の経過を経たのち、今度は人間がその聖霊を逆に自然・宇宙に向けて発露させてゆくことにより、究極的に全宇宙を変容させ、初めに神が創造した世界を人間の仲介を通して完成するという、神と人間の協力による万物の変容の実現が考えられている(秋山)。これは、古代地中海世界のキリスト教による統一により、地上世界の変容にも反映される(本村)。
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[Publications] 水谷 智洋: "翻訳ディクテュス・クレーテンシス『トロイア戦記』第2巻第33章〜第52章ールーキウス・セプティミウスのラテン訳よりー" 外国語科研究紀要 古典語教室論文集. 第40巻第6号. (1993)
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[Publications] 山本 巍: "言語から実在へーアリストテレスと人間原理ー" 人文科學科紀要 第97輯 哲學XXVI. (1993)
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[Publications] 宮本 久雄: "ロゴス(回収可能性)の転位ーアウグスティヌスの『告白』を機縁としてー" 人文科學科紀要 第97輯 哲学XXVI. (1993)
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[Publications] 大貫 隆: "コミュニケーションとしての「要約的報告」ー福音書の物語技法の研究(その1)ー" 外国語科研究紀要 古典語教室論文集. 第40巻第6号. (1993)
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[Publications] 秋山 学: "ニュッサのグレゴリオスにおける「神の像」理解の変容ー人間性の再構築ー" 外国語科研究紀要 古典語教室論文集. 第40巻第6号. (1993)
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[Publications] 秋山 学: "ヨハネ福音書七章53〜八章11をめぐるー考察ー第四福音書の立つ地平ー" エイコーンー東方キリスト教研究ー. 第9号. 2-13 (1993)
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[Publications] 宮本 久雄: "中世思想原典集成2 盛期ギリシア教文(監修・総序)" 平凡社, 690 (1992)
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[Publications] 大貫 隆: "マルコによる福音書Iーマルコ福音書注解ー" 日本基督教団・宣教委員会, 296 (1993)