1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04620012
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
村上 英明 佐賀大学, 経済学部, 助教授 (50145182)
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Keywords | 州民投票 / 州民請願 / 直接民主制 / 立法手続 / 法律発案権 / (ドイツの)州憲法 / バーデン=ヴュルテンベルク州 / 住民参加 |
Research Abstract |
平成5年度は、本研究の主たる対象の州であるバーデン=ヴュルテンベルク(BW)州における州憲法に基づく(州レベルの)州民立法制度に関する研究を執筆・発表した。 まず法律の制定・改廃に関してこの制度を採用している(旧西ドイツ地区の)8つの州憲法の特徴(共通点として、第1に州民請願は直ちに州民投票にかけられるのではなく、議会の審議を経ることを要する間接的請願であること、第2に財政問題に関する法律の制定・改廃を求める州民請願や州民投票が許されていないこと、第3に州民請願実施のためには通常州政府による許可を要するが、その際当該法律案に対する実質的審査が法的に認められていることなどが挙げられる)を概観した上で、BW州の制度の考察に入った。 BW州における州民投票制度には、議会で議決された法律及び否決された政府提出法律案について政府により指定される州民投票制度と、州民請願による州民の法案提出権を認める本来的意味での州民投票制度の2種類があり、特に後者の採用が拒否された憲法制定会議、並びにそれが憲法改正により採用された1974年の議会における与野党議員や政府閣僚の発言を議事録から引用して、この制度に対する考え方の政党間の相違や変遷を紹介した。続いて同制度の特徴について、特に財政に関する州民投票が許されないことについてその根拠と批判を、間接的請願について直接的請願との比較上の評価を、さらに議会が当該法律案に無修正で同意しない限り州民投票が実施される点で「条件付義務的」投票かつ「硬性的」請願であることなどを詳述した。さらに州民法手続の特徴である州民請願の許可手続(法律案に対する形式的・実質的審査の内容)について述べ、最後に、BW州において従来唯一行われた1985年の州民請願の許可、およびその不許可決定に対して異議が申立てられた州憲法裁判所の判決(棄却)を紹介した。
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