1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04620014
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
永田 秀樹 大分大学, 経済学部, 教授 (60136778)
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Keywords | 違憲審査制 / 集中型違憲審査制 / 適用違憲 / 最高裁判所 |
Research Abstract |
集中型違憲審査制の下での合憲解釈と適用違憲の具体的なありかたと特色を再整理し、アメリカや日本との比較において分析・検討した。アメリカでは、適用違憲優先の原則があるとされるが、日本の場合、猿払事件最高裁判判決に見られるように、適用違憲の導入に対して消極的である。ドイツの連邦憲法裁判所は、憲法上の争点を主要問題として扱い、主文で一般的・抽象的判断を示さなければならないという制度的な枠組の中で、具体的事件の適正な解決のために、訴訟類型に応じて多様で柔軟な判決方法を編み出してきた。合憲解釈や「規範切除を伴わない一部無効」、あるいは憲法訴願の棄却の場合にあえて一般的な合憲判断を行わない手法などがそれである。それによって、ときとして弱点ともなり得る集中型違憲審査制下の憲法判断の厳しさを緩和しようとして来た。これに対して、日本の最高裁判所は、伝統的な文面審査・法令違憲の考え方にこだわって適用違憲などの新しい判断方法をほとんど開拓してこなかった。以上、「適用違憲」の分野においても、日本の最高裁判所が米・独いずれとも違って極端に消極主義的であるのは、担い手が制度を持て余している、あるいは付随的違憲審査制のメリットを生かしていないからであるという結論を得た。 また本研究の副産物として、西ヨーロツパ諸国の政党制度、政党助成を調査し、そのうちドイツの憲法理論と憲法判例との相互作用を分析し、まとめた。
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