1993 Fiscal Year Annual Research Report
河川湖沼の環境保全に関する地方自治体の役割と法的根拠の研究
Project/Area Number |
04620016
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Research Institution | Chuogakuin University |
Principal Investigator |
柳沢 弘毅 中央学院大学, 法学部, 教授 (30230262)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 寛 中央学院大学, 法学部, 講師 (30235329)
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Research Abstract |
前年度に続き、各地で、自治体における水行政の問題を調査・観察し、具体的問題を通じて、一般的理論を構成しようとする努力を継続した。 調査範囲は、九州・山陰・滋賀・北陸地方および関東近県に及び、各地域において特有の問題を観察した。たとえば、九州においては、福岡県志免町を訪れ、給水拒否訴訟の舞台を見ることができた。どのような状況下でこの問題が生起し、町当局はどのように処理してきたかという事情を把握することにより、条例に対する国家司法権以外の実効性担保手段の可能性について、重要な情報を得るところとなった。また、緑川水系においては、通潤橋の周囲を調査することにより、農業用水に係わる生人の工夫の跡に驚き、現代における地方行政のあり方につき、深甚の反省を迫られた。 平成5年度には、新たに、地方行政の現場に参画する道が開かれ、重要な体験をするところとなった。ある市における水道水源保護条例の制定に関与する機会がわれわれに与えられ、その素案作りに携さわったのである。この経験により、われわれは、憲法が現場においてどのように受け取られ、現実にいかなく拘来力を持っているのか、どのような方向で法理論を構成しなければならないか、等の重要問題について、痛切な反省を強いられた。 この他に、市民懇話会にも出席し、市民や住民との議論を通じて、いかなる行政需要が存在するかを知り、理論と現実とのギャップについて、熟考させられるものがあった。 全体に、平成五年度も現実との接触という点に、重点を置き、概ね予定を達成することができたとかんがえる。
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