1992 Fiscal Year Annual Research Report
都市におけるマルチセンターの形成とその成長に関する動学的経済分析
Project/Area Number |
04630003
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐々木 公明 東北大学, 応用情報学研究センター, 助教授 (10007148)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
文 世一 東北大学, 応用情報学研究センター, 助手 (40192736)
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Keywords | モノ・セントリック都市 / マルチセンター / サブセンター / 都市規模 / 都市成長 / コミュニケーション / 都市内交通費 / 地代 |
Research Abstract |
平成4年度にはマルチセンターの形成に関する動学的理論分析と,数値シミュレーション分析のためのコンピュータプログラムの開発,それを用いた若干のシミュレーションを行なった。理論分析では,線型都市においてCBDとサブセンターの立地点が与えられた下で,計画期間における純地代収入が最大になるような企業,実計の立地が決定される最適化問題が解かれた。その場合,サブセンター地区の成長に関して2つの交替的パターンがあり得るが,計画期間の初期の段階ではいずれのパターンでも,企業はCBD地区のみに立地することがいえる。2つのパターンの差量は都市全体に立地する企業数がある一定値を越える期間の後半に生ずる。すなわちパターン1ではCBDとサブセンター地区双方が拡大するが,パターン2では専らサブセンターのみが成長する。 円型都市においてサブセンターの場所を中心から一定の距離の円周上に説定したシミュレーションおいて,以下の主要な観察結果が得られた。 1)都市の人口現模が小さいときは,CBD,サブセンターの周辺においても,均衡地代は農業地代よりも低い。このことは,都市の人口規模(それ故企業数が)ある水準を越えてはじめてサブセンターが機能しはじめることを意味する。 2)サブセンターが利用可能である場合,それが無い場合に比して,都市面積,住民の所得,企業の利潤,住民の効用は増大する。 3)交通費用が低下するとき,サブセンターがある都市の住民の効用はそれが無い都市の住民の効用よりも大きい率で増加する。このことはサブセンターの整備が交通費の低下の効果をさらに押し上げる“booster effect"をもっていることを示唆する。
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