1992 Fiscal Year Annual Research Report
「労働力の女性化」をめぐる思想史的研究ー経済学におけるフェミニズムの問題ー
Project/Area Number |
04630010
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Research Institution | agoya Municipal Women's College |
Principal Investigator |
安川 悦子 名古屋市立女子短期大学, 経済科, 教授 (90071034)
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Keywords | 労働力の女性化 / フェミニズム / 家族 / 家事労働 / 労働市場 / 家族賃金 / 不熟練労働 / 古典経済学 |
Research Abstract |
1.「労働力の女性化」にかかわる文献の蒐集と文献目録の作成について。経済学理論、社会政策、社会保障、歴史学、社会学などの分野にわたって、ひろく「女性労働」の問題を扱った文献を蒐集し、その大まかな目録を作成した。 2.こうした分野でこれまで基礎的な概念だとされてきたもの「家族」「家事労働」「労働市場」「労働過程」「労働運動」などについて、フェミニズムの視点から再検討をおこなった。とりわけこれまで所与のものとされてきた「家族」と「労働市場」について、アダム・スミスやカール・マルクスなどの古典的な経済理論においてどのように取り扱われてきたかを、批判的に検討し、その検討の成果を「家事労働の経済学」として発表することになっている。 3.今日のイギリスやアメリカの経済学における「労働力の女性化」研究について、それを批判的に検討した。その成果は、(1)ヴェロニカ・ビーチのUnequal Workを翻訳し出版した。この過程において、「労働力の女性化」という問題は、経済学がモデルとしてきた労働者像の大転換をはかるものであることが、明らかになった。そして、「家族賃金」を担った男性熟練労働者(日本では年功序列、終身雇用制)がモデル労働者であるとされて来た問題が、明らかになり、女性の固有の領域とされてきた不熟練のパート労働者を正面において、経済学を理論化する必要があることがはっきりしてきた。(2)この問題について1992年度「社会思想史学会」年次大会において報告した。「労働力の女性化」は、女性労働の固有の特殊な問題なのではなくて、将来の労働力の基本的な形態になるのではないかと予測される。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 安川 悦子: "家事労働の経済学的位置" 日本婦人問題懇話会会報. 53. (1993)
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[Publications] 安川 悦子: "家事労働の経済学ーその社会化の行方ー" 『講座・生活学』川添 登 一番ヶ瀬 康子編 第4巻、光生館所収. (1993)
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[Publications] 安川 悦子: "フェミニズムとマルクス主義ー「家族」と「労働」の意味をめぐって" 社会思想史学会『社会思想史研究』. 17. (1993)
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[Publications] ヴェロニカ.ビーチ,安川 悦子訳 高島 道枝訳: "現代フェミニズムと労働" 中央大学出版, (1993)