1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04630030
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
阿部 誠 大分大学, 経済学部, 助教授 (80159441)
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Keywords | ME化 / 雇用構造の変動 / ホワイトカラー化 / 人員削減 / 労働者の流動 / 年功的秩序の動揺 |
Research Abstract |
1980年代には各産業でME化が進み、とりわけ製造業などでは、システム化の段階へ入った。こうしたME化の進展によって製造業などの雇用構造が大きく変化している。FA化によって生産部門の人員は削減されたが、生産動向や雇用管理による影響もあり、1980年後半の好況の局面ではME化が必ず雇用者の減少に結びついたとはいえない。むしろ、生産労働者、事務労働者の減少の一方で、技術革新への対応として技術者の増大や企業間競争への対応として営業部門労働者の増大が進むなど企業内の雇用構造が変動したことが特徴的である。また、人員削減の一方で、派遣労働者やパート労働者などが増大しており、全体としてフレキシブルな雇用が増加する傾向も雇用構造の変動として注目すべきである。ME化は、技能の変化、職務の再編成などと結びついており、生産労働者の職務拡大をもたらすとともに、中高年労働者が新技術への適応力に富む若年労働者に置き換えられる傾向がある。こうした変動が、配転、出向をはじめとする企業内外の労働者の流動化をもたらしている。 こうした変動はマクロの労働市場へも影響を及ぼしており、製造業の雇用の減少やME合理化が困難な第3次産業での雇用の急増などとともに、直後にはME機器を生産する電機械産業や情報処理サービス業の雇用を急速に増大させているし、職業別では、専門職、技術者などが急増している。一方、労働市場の流動化も進んでいる。 ME機器の導入は、教育・訓練などを通じた労働者の選別とともに、熟練、技能の変化などによる技術の平準化をもたらし、年功的秩序を動揺させている。こうしたなかで、経営者は「能力主義管理」の強化など労務管理の再編を進めており、多くの企業で人事考課、査定の基準の変更などが進みつつある。これは労働者の管理の強化につながるが、ME機器導入への規制はもとより、こうした変化についての労働組合の規制力は全般に弱い。
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Research Products
(1 results)