1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04630030
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
阿部 誠 大分大学, 経済学部, 助教授 (80159441)
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Keywords | 技術革新 / 構造調整 / 雇用構造の変化 / ホワイトカラー化 / 組合員の階層分化 / 労働組合の産業政策 |
Research Abstract |
今年度は、技術革新や経済の構造変化の下での職場の変化、雇用構造の変化について電機産業を中心に労働組合が実施したいくつかの実態調査を通じて明らかにするとともに、こうした変化にたいし労働組合がどのように対応しようとしているのを労働組合の政策の分析を通じて考えてみた。 電機産業では生産部門の自動化が進んだ結果、作業工程の再編が進み職務範囲が拡大する一方、要員の増加が抑制されたため、一人の仕事量が増えるとともに、配転、応援、派遣などの人の移動が増大した。このようななかでホワイトカラーは相対的に増大したが、技術開発部門はもとより事務、営業などの部門でも業務量の急速な増大の下で要員増は抑制されており、それが残業や休日出勤の増大などの問題につながっていることが指摘されている。また、90年代に入ると間接部門の「合理化」が進められ、人員削減の主たる対象はホワイトカラーに移っている。さらに、パート・派遣労働者などを活用する雇用管理が進められるなど、職場と雇用構造は大きく変化しているといえる。 こうした変化にたいする労働組合の対応を電機連合を例にみてみると、基本的には経済の構造調整を進める立場に立ったうえで、構造変化による雇用喪失にたいして雇用の創出をはかるとともに、労働力需要の調整や教育訓練、能力開発を進める産業政策を提起するにとどまっている。また、ホワイトカラー化などの雇用構造の変化については組合員の階層分化ととらえ、これにたいして組合が統一的に対応するのは困難として、階層別の対策を重視している。さらに、賃金政策についてはキャリアを重視し「能力給」の要素を強める方向を打ち出している。これらを通じて、雇用構造の変化による働き方や生活スタイル、組合員意識などの変化にたいして組合が対応を迫られていることがわかるが、階層別対策の強化は組合運動の分散化傾向を強めるおそれがあるという点が指摘できる。
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Research Products
(1 results)