Research Abstract |
奄美大島紬絹織物業については,戦前期,戦時経済統制期,米軍統治期,高度成長期,70年代中葉以降という時代区分を念頭において,多面的な資料収集にあたった。(鹿児島県大島支庁,本場大島紬協同組合,紬業者,織工,地元新聞社,県立図書館奄美分館,その他)同時に聞き取り調査をおこなった。 2.結城紬絹織物業については、市役所,本場結城紬協同組合,問屋,商工会議所,紬業者から聞きとりと資料収集をおこなった。戦前期の資料収集にも力を注いた。 3.戦後期の両産地の類型的比較について概括的な分析をおこない,さしあたり次のような知見を得ることができた。(来年度も分析を継続する予定) イ)奄美産地の方が量的拡大と産地拡散が急激であり,経営規模の拡大と専業化が著しく進んだ(名瀬市を中心に)。これに対して,結城紬産地では散地拡大はあまり進んでおらず,農村家内工業として展開し,兼業形態が中心である。 ロ)上の実態に規定されて,奄美大島紬産地では機業は地域の「生命産業」としての位置を占める。そして,産地問屋の未形成のため,集散地問屋の支配力が強い。これとは対照的に結城紬産地では産地問屋が古くから形成されている。 ハ)80年代後半以降,両産地ともに急激な需要減のもとで,後継者問題に直面しており,状況は危機的である。 4.上の分析とは別に,奄美大島紬産地の戦後過程を分析するための予備的作業として,戦時経済統制下の奄美大島紬絹織物業の分析をおこなった。(別紙「研究発表」参照)
|