1993 Fiscal Year Annual Research Report
伝統産業の展開構造と地域経済-大島紬産地と結城紬産地の比較研究-
Project/Area Number |
04630031
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
仲村 政文 鹿児島大学, 法文学部, 教授 (80041086)
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Keywords | 大島紬 / 結城紬 / 伝統技術 / 産地 / 締機 / いざり機 / 紬業者 / 織工 |
Research Abstract |
1.前年度に引き続いて、奄美大島紬産地および結城紬産地を比較分析の視点から総合的に調査分析したが、本年は特に、技術的側面および政策過程に力点をおいた。 2.奄美大島紬産地については、鹿児島県大島支庁、本場奄美大島紬協同組合、同販売協同組合名瀬市役所、各瀬公共職業安定所、紬業者、織工、県立図書館奄美分館、その他から聞きとり調査および資料収集をおこなった。特に米軍統治下の実態を探すことに力を注いだ。 3.結城紬については、茨城・栃木両県の本場結城紬織物協同組合、茨城県繊維工業指導所、市役所(結城)、業者、その他から聞きとり調査および資料収集をおこなった。 4.以上の調査を踏まえて分析をおこない、今年度新たに得られた知見の概要は次のとおりである。 (1)大島紬産地と結城紬産地との間には産地の形成・確立の過程に共通点がみられるが、その後の展開に大きな違いが認められる。結城紬のばあい、石下織物業との差別化を明確にし、伝統技術(糸つむぎ、いざり機など)を保持しつつ、一つの産地を形成し続けてきた。これに対して大島紬産地は高機の導入、締機の発明・普及など技術的改良を加えてきた。このことが産地拡散(鹿児島市.都城市.韓国など)の一要因となった。 (2)行政当局の政策展開は結城紬産地においてみるべきものがなく、地域におけるウエイトの違いを反映している。 5.2カ 年間の研究成果を論文にまとめた(別途提出)。
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