1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04630038
|
Research Institution | Kochi Junior College |
Principal Investigator |
福田 善乙 高知短期大学, 教授 (20099683)
|
Keywords | 人口自然減 / 過疎 / 地域活性化 / 内発的発展 / 交流ネットワーク |
Research Abstract |
平成4年度は人口の自然減少地域に関する図書や資料を購入するとともに 一定の地域、業種に対して実態調査を実施した。このなかで、人口の自然減少地域では、(1)高齢化の進行、(2)出生者の減少、(3)それゆえに世代交代ができない状態になっていること、が明らかになった。そして、人口の減少→集落の消滅→自治体の存立の危機、という状態も生じている。人口の自然減少の典型地域である高知県では、1960〜85年の25年間で28集落が消滅している。また、いつ消滅してもおかしくない9戸以下の集落が152もあるのも大きな問題である。また、今年度は人口の自然減少地域における商工業をみるために、高知県商工会青年部の調査にも取り組んでみたが、ここでも厳しい状態にある。青年部員数も1986年度の1069人から1990年度は964人に減少しており(1支部当たり26.1人から23.5人へ減少)、青年部の存立の危機にもなっている。 しかし、このような状態にある地域でも地域活性化の努力がおこなわれている。四国でいえば、高知県の大川村、鏡村、土佐町、愛媛県の久方町などで創意・工夫がみられる。私はこれらの事例から、地域活性化を考える柱として、(1)ものづくり (2)人づくり (3)地域社会づくり (4)内発的交流ネットワークづくり、の4つの柱で分析する必要性に到達している。しかも、この4つの柱を総合的に考えていく必要がある。 これまでは人口の自然減少地域を主として都道府県レベルでみていたが、これからは市町村レベルでみる必要を痛感している。それゆえ、平成5年度は市町村レベルの現場にじっくり入って、実態を明らかにするとともに、地域活性化の方策を前途の4つの柱を中心にすえて明らかにしていきたいと思っている。 なお、今年度に戦後の国土開発政策の流れが地域経済についての理論的な整理についても研究を一層深めることができたと思っている。
|
-
[Publications] 福田 善乙: "青年商工業者の現状と課題-高知県商工会青年部の活性化をめざして-" 高知短期大学『社会科学論集』. 第63号. 1-45 (1992)
-
[Publications] 福田 善乙: "「地域経済論」をめぐる問題状況と今後の課題" 高知短期大学『社会科学論集』. 第64号. 111-130 (1993)
-
[Publications] 福田 善乙: "人口定住と農村活性化-人口定住の条件-" 『農村活性化対策調査報告書』(農政調査委員会). (1993)
-
[Publications] 福田 善乙: "人口定住と拠点施設-高知県大川村を事例として-" 『農村活性化対策調査報告書』(農政調査委員会). (1993)
-
[Publications] 山本 義彦編: "近代日本経済史 -国家と経済-" ミネルヴァ書房, 354 (1992)