1992 Fiscal Year Annual Research Report
公共土木事業の就労者構成と労働市場政策ー昭和恐慌期の失業問題・農村問題との関連
Project/Area Number |
04630042
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加瀬 和俊 東京大学, 社会科学研究所, 助教授 (20092588)
|
Keywords | 失業救済 / 公共土木事業 / 失業者登録 / 職業紹介所 |
Research Abstract |
本年度においては下記の内容の作業を進めた。 (1)主要都市・主要府県の土木事業関係規則・失業救済土木事業関係規則等を収拾し、地方自治体ごとの事情の相違とその原因について考察した。 (2)失業救済事業関係の行政文書が残されている京都府・埼玉県・山梨県等について、失業救済事業の立案・議会審議・実行の各過程の実状を把握した。行政文書が残されていないその他の地域については、当時の雑誌・新聞記事等によって同様の動きを可能な限り明らかにした。 (3)失業救済事業に関連して発生したいくつかの争議の内容を検討し、就労者の構成とその行動様式、雇用関係のあり方、事業主体と請負業者の関係、官庁内部における土木工事担当部局と失業者救済担当部局の対立点、争議に対する公的介入の性格等について分析した。個別事例としても影響力が大きく、同時に、失業救済事業の問題点を端的に示していると思われるいくつかの争議について、事例紹介的な論文を作成ずみである。 (4)各地の土木事業団体が失業救済事業の地方自治体直営方式に反対運動を展開した事情について、業界関係資料、新聞記事等によって明らかにした。ただし、個々の請負業者の経営内容と失業救済事業との関連については、請負人の大部分が地元の土木業者に限定され、社史等の残されている大手の土木建設企業ではないためもあって、企業の内部資料に接することができなかった。この点は改めて次年度の課題としたい。 (5)失業救済事業の就労希望者のうちどのような条件で登録者が選別されていたのかについて、朝鮮人失業者を中心に考察し、「失業者救済公共土木事業における就労者選別方式と朝鮮人登録者」として発表した。
|
Research Products
(1 results)