1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04630053
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Research Institution | NAGOYA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
竹内 信仁 名古屋大学, 経済学部, 教授 (00022476)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野 晶夫 名古屋学院大学, 経済学部, 講師 (30242803)
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Keywords | 財政投融資 / 一般会計 / 財政政策 |
Research Abstract |
本年度の研究は、日本の高齢化の進展とその財政投融資およびそのマクロ的影響を分析することがその主要な目的であった。日本の経済発展にとって重要な役割を果たしてきたのは、1つは貯蓄率が高く、それが民間投資を促進したり、公共投資のための財投資金として活用できたことが大きい。また、国民年金や厚生年金の積立金についても、財投資金として活用している。もし高齢化社会によってそのような資金がなくなれば、日本経済自身が老衰して行くことが考えられる。そこで本研究では、高齢化社会におけるシミュレーションモデルを構築し、貯蓄率低下による財政投融資と経済成長への影響を2020年まで計測した。その結果、貯蓄率は高齢化の進展によって徐々に低下し、2020年には0.9%にまで下がり、それによって郵貯・簡保の新規の預託金が減少し、また年金受給者の増加によって厚生年金・国民年金からの預託金も減少する。しかしながら、財投原資ストックの増加によって、郵貯等の原資を上回る額の資金運用部資金および簡保の回収金からの新規貸出額が増加するため、原資総額は増加するのである。つまり、財政投融資の成熟化によって、安定的に原資が供給されることが確かめられた。これにより、貯蓄額が減少する一方で、財投原資は安定的に増加し、また経済成長は、労働人口が1999年をピークに減少の一途をたどるが、原資の増加による公共資本の増大により、2000年前半は、2%台、それ以降は1%台の成長率が期待される。つまり、高齢化社会においても、財政投融資は依然として、経済成長にとって重要な役割を担うことが確かめられたのである。
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