1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04640268
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
冨松 彰 名古屋大学, 理学部, 教授 (10034612)
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Keywords | 回転ブラックホール / 活動的銀河 / プラズマ流 / 磁気流体波 / X線輻射 |
Research Abstract |
活動的銀河はコンパクトな中心部領域から莫大なエネルギーを放出している興味深い天体であるが、本研究はそのような活発な現象をブラックホール磁気圏モデルという観点から説明しようと試みるものである。その磁気圏におけるプラズマ過程は極めて多様であるので、今年度においては、一般相対論的磁気流体力学を用い、回転ブラックホールへの磁気流体の降着過程とプラズマ噴出流の伝播過程を重点項目として研究を遂行した。 その結果、ブラックホールの質量損失をもたらす磁場優勢な降着流においては、磁場とプラズマ粒子との間に効率の良いエネルギー・角運動量輸送が起きることが明らかにされた。そして、この磁気流体力学的相互作用のために、磁気音波の励起による磁場の微小な揺らぎがプラズマ粒子の運動に大きな変動をもたらすことが見出された。このような磁気圏における擾乱の発達はブラックホールの重力を起因とする一般相対論効果によるものであり、X線輻射の放出などの天体現象における時間変動を説明する手掛かりとなることが期待される。また、磁気圏内における粒子生成を電気抵抗によるジュール散逸過程と考えることにより、境界層領域からの降着流と噴出流の生成機構を説明することに成功した。そして、降着流によるブラックホールの質量エネルギーの損失部分は、結果的に、噴出流のエネルギーと熱輻射放出に転化することが示された。超相対論的なエネルギーを持った噴出流は伝播と共に次第に加速され、その流線はジェット的な形状になる。この形状変化が顕著になる空間的スケールのエネルギー依存性が調べられ、ブラックホール磁気圏とパルサー磁気圏の大局的構造における相違が明確された。これらの研究成果は国際会議における招待講演として発表されており、また、プラズマ・核融合関係の学会誌の解説としても掲載される予定である。
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[Publications] K.Hirotani: "Accretion in a Kerr Black Hole Magnetosphere:Energy and Angular Momentum Transport between the Magnetic Field and the Matter" Astrophysical J.386. 455-463 (1992)
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[Publications] A.Tomimatsu: "Evaporating Black Holes in Quantum Gravity" Phys.Lett.B. 289. 283-286 (1992)
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[Publications] Y.Oshiro: "Evaporation of a Collapsing Shell with Scalar Field Production" Prog.Theor,Phys,. 89. (1993)
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[Publications] 冨松 彰: "一般相対論的磁気流体力学" プラズマ・核融合学会誌. 69. (1993)
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[Publications] K.Hirotani: "Time Variation of Magnetohydrodynamic Accretion onto a Black Hole" Publ.Astron.Soc,Japan. 45. (1993)
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[Publications] A.Tomimatsu: "Proceedings of the 4th International Toki Conference on Fusion and Astrophysical Plasmas" European Space Agency, (1993)