Research Abstract |
主として次の3点を目的とした:(1)原子核密度以上の高密度超新星物質の成分比や熱力学諸量を求めること,(2)レプトンと共に超新星物質を構成している有限温度の中性子過剰核物質の特質を調べること,(3)生まれたばかりの熱い中性子星の特徴や現象を論ずること。 (1)について:現実的にアプローチするため,(イ)n,p,e^-,e^+,Ve,V^^-eから成る系に対し有限温度のハートリー・フォック方程式系を自己無撞着に解く,(ロ)短距離相関を考慮するため現実的核力に基づく有効相互作用を構成する,(ハ)核物質の飽和性を満たすため有効相互作用に現象論的3体力項を含める,(ニ)ニュートリノ縮退下のβ平衡という条件を課す,という点に留意した。超新星物質では各成分の混在度が密度,温度によらず殆んど一定であること,陽子混在度Ypは通常の中性子星物質に較べてずっと大きいこと,反粒子の混在は無視できること,状態方程式は中性子星物質の場合より「かたく」なること,等の特質を見出すと共に,それらに対し明解な説明を与えた。また,成分比,熱力学諸量のTableを作成すると共にYp=2/3Ye+0.05(Yeはレプトン比)という経験式を提案した(別冊報告書,論文投稿中)。 (2)について:(1)と同様のアプローチを行い,熱力学諸量や1粒子エネルギー,フェルミ分布,等の温度,密度,非対称パラメータ(α)依存性を調べた。また,気相一液相転移のα依存性を初めて論ずると共に非圧縮パラメータ(k)の温度,α依存性も導出した。(別冊報告書,論文投稿中)。 (3)について:生まれたばかりの中性子星は通常の「冷い」中性子星に較べて半径が(20-50)%も大きく「太っている」こと,中心温度は(30-40)MeVにもなること,冷却・収縮に伴って(20-90)%も自転が速まること,冷却後にπ凝縮星になる場合のエネルギー放出量と時間的振舞はSN1987Aの観測結果を説明しうること,等の結果を得た(論文準備中)。
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