1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04640280
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
滝川 昇 東北大学, 理学部, 助教授 (00125600)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐川 弘幸 東京大学, 理学部, 助手 (50178589)
篠塚 勉 東北大学, サイクロトロンラジオアイソトープセンター, 助手 (10134066)
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Keywords | 重イオン反応 / 不安定核 / 暈原核子 / 融合反応 / 弾性散乱 / 輸送現象 / 超重核 / 分解反応 |
Research Abstract |
本研究計画は、不安定核、特に暈原子核(中性子ハロー(neutron halo)を持つ中性子ドリップライン近傍の原子核)を入射粒子とする重イオン散乱の特徴を明らかにする事、又、それを通して超重核生成に対する新しい方途を提起することを目的としている。平成4年度に得た成果は以下の通りである。1.クーロン障壁以下での核融合反応:以前の論文で、我々は、暈原子核を入射核とする重イオン散乱では、クーロン障壁の異常な低下とソフト双極子励起との結合により、クーロン障壁以下での融合断面積が著しく大きくなる事を示した。平成4年度には、暈原子核の特徴である分解反応の核融合断面積に対する影響を調べ、分解反応によって融合断面積の増幅効果が弱められる事、しかし、その度合は他の著者によって指適されたほど著しくはない事を示した。又、これらの理論的予測を実験的に検証する方法として、異なるLiアイソトープと^<208>Pbの融合断面積を比較し、暈原子核である^<11>Liを入射核とする重イオン反応では、核融合断面積が著しく大きくなることを示した。2.中高エネルギー重イオン弾性散乱:^<11>Liと^<12>Cの中高エネルギーにおける弾性散乱の微分断面積をグラウバー理論に基づいて計算し、中性子ハローの特徴が、いわゆるfar-side成分が主になる角度領域に現れることを示した。又、安定核による重イオン散乱の記述に有効であったoptical limit近似は、暈原子核による重イオン散乱の記述には使えず、反応断面積を過大評価することを示した。更に、異なるLiアイソトープと^<12>Cの微分断面積を比較する事により、暈原子核である^<11>Liを入射核とする重イオン反応では、far-side成分が主となる後方角で微分断面積の傾きが著しき大きくなることを示した。3.核子輸送現象:核図表(N-Z面)上の様々な方向への核子交換に対するエネルギー面を計算し、大きな中性子スキンをもつ不安定核を入射核とする重イオン散乱では、安定核同士の散乱に比べ遥かに多量の核子の交換が期待される事を示した。2年次には、分解反応及び核子移行反応の融合断面積への影響、輸送現象、及び中性子過剰核を用いた超重核生成に対するより詳細な検討を行う予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] N.Takigawa: "Elastic Scattering of a Halo Nucleus at Medium Energies" Physics Letters B. 288. 244-249 (1992)
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[Publications] H.Sagawa: "Sum Rule Study of New Vibrational Modes of Excitation in Halo Nuclei" Nuclear Physics A. 543. 575-588 (1992)
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[Publications] N.Takigawa: "Heavy-ion fusion reactions with a halo nucleus-Large enhancement of the tunneling probability" Japanese Journal of applied physics.
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[Publications] A.B.Balantekin: "Two-time Influence Functional Approach to Multidimensional Quantum Tunneling" Japanese Journal of applied physics.