1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04640285
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤川 和男 東京大学, 理学部, 教授 (30013436)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 治輔 金沢大学, 教養部, 助教授 (40211213)
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Keywords | 場の理論 / アノマリー(量子異常) / 量子重力 / トンネル効果 / トポロジー |
Research Abstract |
藤川は量子トンネル効果及び二次元重力理論の量子論的側面を中心に考察した。狙いとするところは、量子異常(アノマリー)とか位相的(topological)な性質と場の量子論の兼ね合いをより深く理解することにあった。トンネル効果にかんしては、とりあえずCaldeira-Leggetに従って摩擦のある系でのトンネル効果の研究を続けた。これはトンネルする粒子が外場とランダムに相互作用する場合にはどうなるかという興味のある問題である。我々の分析の主要な結論は、過去における一般的常識に反して、スーパーオーム的摩擦はトンネル効果をむしろ促進するというものである。この問題とブラックホールにおけるdecoherenceという現象との類似性も知られており、あるいは将来その方面でなにか面白い結果が期待できるかも知れない。 二次元量子重力に関しては、三角格子で正則化したいわゆる力学的三角分割法と連続多様体に基づく通常の量子重力理論のより直接的な関連の解明をめざした。具体的には、三角分割法でいわゆるWey1量子異常がどのように表現されるのかの解明を試みた。この過程で座標系とか座標条件と呼ばれるものが一体なんであるのかという問題のより深い理解が得られた。 久保は場の量子論をより拡張された位相空間で定式化する処方せんに従に量子異常と異常交換関係(Schwinger項)の関係の解明を行なった。特にコサイクル項と呼ばれるものがこの立場では純粋に代数的考察のみから得られることが示された。さらにこの方法はより広い問題に適用可能であり、例えば二次元量子重力理論に適用すると代数的考察のみからゲージ条件に依存しないより一般的な考察が可能であることが示された。最近ではブラックホールの蒸発という興味ある問題にもこの方法は適用され新しい見方を提供している。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] K.Fujikawa,S.Iso,M.Sasaki,H.Suzuki: "Quantum Tunneling with Dissipation:possible enhancement by dissipative interactions" Physical Review. B46. 10295-10309 (1992)
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[Publications] K.Fujikawa,M.Ninomiya: "Semi-classical continuum limit of dynamical triangulation and Weyl symmetry" Nuclear Physics. B. (1993)
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[Publications] T.Fujiwara Y.Igarashi,J.Kubo: "Anomaly in the Schrodinger representation" Nuclear Physics. B387. 447-463 (1992)
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[Publications] T.Fujiwara,Y.Igarashi J.Kubo,K.Maeda: "A new insight into BRST anomalies in string theory" Nuclear Physics. B. (1993)
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[Publications] 藤川 和男: "ゲンジ場の理論" 岩波書店, (1993)