1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04640288
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
岡 真 東京工業大学, 理学部, 助教授 (60144606)
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Keywords | QCD / Hダイバリオン / クォーク模型 / グルーオン / インスタントン / 中間子スペクトラム / バリオンスペクトラム / バリオン間相互作用 |
Research Abstract |
クォーク模型によるハドロンスペクトラムの記述は、従来、グルーオン交換力と閉じ込め力を取り入れて、かなり成功している。しかし、我々は、擬スカラー中間子及びHダイバリオンでの食い違いに注目し、クォークが非摂動的グルーオン配位であるインスタントンと結合する事による相互作用の役割を調べた。今年度はまず、この相互作用の性質を明らかにする事を中心に研究を行なった。この相互作用は、フレーバー依存性がグルーオン交換と大きく異なり、特にn_1とn_8の質量差の主な部分を説明する。この相互作用は短距離力である事を考慮すると、カラー1重項のバリオンには効かない事がわかる。又、スピン依存のスピン軌道力やテンサーカにも、グルーオン交換との違いが見られ、P波バリオンのスペクトラムとNN相互作用のスピン軌道を同時に説明する可能性のある事を示した。Hダイバリオンのスペクトラムの研究では、NN相互作用とn-n、質量差などから決めたパラメータを用いて、Hダイバリオン及びそのフレーバー励起状態の質量が、インスタントンとの結合によって、どの様に変わるかを調べた。フレーバー1重項のHダイバリオンは、クォーク、インスタントン結合による斥力を受けて、束縛状態にはならないか、又はなったとしても、束縛エネルギーが非常に小さいので現在までの、ダブルハイパー核の実験データと矛盾しない事が示された。又、〔42〕対称なフレーバー多重項に属するHの質量は、インスタントンによる効果が殆んどないため、フレーバー1重項のHとエネルギーが逆転する可能性のある事が、共同研究者(竹内、久保寺、Nussinov)らによって示された。今後の、より詳しい解析及び、実験研究による確認が期待される。
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[Publications] S.Takeuchi,M.Oka: "Instanton Induced Interaction in Strange Systems" Nuclear Physics. A547. 283C-288C (1992)
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[Publications] 岡 真,竹内 幸子: "クォーク模型におけるインスタントンの役割" 素粒子論研究. 86. 37-47 (1992)
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[Publications] 岡 真: "QCDの対称性と有効理論" 原子核研究. 37. 47-68 (1993)
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[Publications] M.Oka: "Dibaryons in the Quark Model" Proceedings of the 10th International Symposium on High Energy Spin Physics.
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[Publications] S.Takeuchi M.Oka: "Spin dependences of the instanton induced interaction" Proceedings of the 10th International Symposium on High Energy Spin Physics.
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[Publications] M.Oka: "YN and YY interactions at short Distances" Proceedings of Mt.Sorak Workshop on Hyperon Scattering and Hypernuclear Physics. 35-53 (1992)