1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04640307
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
高原 文郎 東京都立大学, 理学部, 助教授 (20154891)
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Keywords | 粒子加速 / 宇宙線の起源 / 衝撃波 / 相対論的ジェット / ガンマ線天文学 / 活動銀河中心核 / 軽元素の起源 |
Research Abstract |
1。 各エネルギー領域における銀河宇宙線の加速源、および個々の源で得られる最大エネルギーの評価を進めた。10^<16>eV以下のエネルギー領域では超新星残骸の衝撃波がその候補となる。斜め衝撃波で得られる最大エネルギーについて、モンテカルロシミュレーションにより、平面衝撃波にたいしては最大エネルギーが10^<16>eVに達し得ることを明らかにした。現実には衝撃波の形状は平面ではなく球状に近いので磁場の大局構造が問題となる。現在この場合の取扱いを検討中である。 2。 加速理論を検証する観測との比較の可能性をいくつか考察した。宇宙線には陽子のみではなく、ヘリウムから鉄にいたる原子核も存在する。衝撃波加速理論にしたがえば、最大エネルギーは電荷に比例するので、10^<16>eVを境界にして組成が大きく変化することになる。また、加速源での宇宙線スペクトルは、銀河系内のものよりかなり硬くなるので、物質と衝突した際に発生するγ線も高エネルギーでは、加速源が強く観測される可能性がある。現在これらの定量的検討を進めている。 3。 宇宙線に関連した天体物理的問題の考察を行なった。GRO衛星で観測された活動銀河からの高エネルギーγ線放射機構を検討し、相対論的ジェット中の衝撃波による電子加速で説明するモデルを提案した。銀河系の年齢の古い星で観測された、BeとBが銀河形成期の宇宙線による破砕反応で説明できることを示した。 現在、以上の成果についていくつかの論文を準備中である。
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