1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04640309
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Research Institution | Ishinomaki Senshu University |
Principal Investigator |
吉田 思郎 石巻専修大学, 理工学部, 教授 (60091766)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 良雄 山形大学, 教養部, 助教授 (10113961)
阿部 正典 石巻専修大学, 理工学部, 助手 (50221049)
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Keywords | 前平衡過程 / 断熱近似 / 核反応の統計理論 |
Research Abstract |
7月末Sparcstationが納入され、主として阿部がその整備に当り、9月には使用可能となった。初めにいろいろなプログラムを走らせてワークステイションの性能の試験をした。その中には大次元の行列の対角化が含まれる。 瞬間近似の研究については、まず巨大共鳴の崩壊幅の計算を取り上げ、過程で現われる状態の数の勘定をし、時間に依存するシュレデイガー方程式を解くプログラムを作った。ただ今テスト中で、まだ結果は出ていない。 一方これに関連して前から続けてきた前平衡反応に用いられる光学ポテンシャルの虚数部の計算はいま最終段階に至り結果が出た。半古典近似と到達距離零の核力を使って、核は同数の陽子と中性子からなると仮定し、質量演算子の虚数部の計算をした。この場合は粒子空孔対が作られ、過程(a)と呼ぶことにする。前平衡過程では中間状態は束縛状態(Q空間)に限られるので通常の虚数部と較べると入射エネルギーによって違うが、だいぶ小さくなる。これは最近ChadwickとYoungによって行なわれた多段階直接過程と多段階複合過程を使った中性子散乱のデータの解析から得られた結果と一致する。 前平衡過程ではこのほかに(b)粒子による散乱、(c)空孔による散乱、(d)空孔との相互作用による粒子空孔対の消滅の過程がある。過程(b,c)は質量演算子の考えを拡張して計算したが、相互作用をする標的核の核子の位置と運動量につき平均しなければならない。これを状態密度を使って行なうと次のような簡単な結果がえられた。 標的核の粒子空孔数を決めると虚数部は標的核の励起エネルギーには依らず、過程(b)と(c)では粒子(空孔)数に比例し、過程(d)ではその2乗に比例することが粒子空孔数が極めて小さい時を除き良い近似でなりたつ。 この過程の相互作用の行列要素の2乗の平均は過程(a-d)に依らないと云う仮定はよく使われるが、我々の計算とも比較的よくあう。温度を与えた場合の虚数部との関係についても調べた。
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